愛犬との楽しみの1つである「散歩」。散歩は愛犬と飼い主さんの絆を深めるいい機会でもあります。
ところが、「散歩デビューはしたけれど、困った行動が治まらない」と悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか。
リードを引っ張る、道に落ちている物を食べる、ところかまわず吠える……。その結果、周りの人や他のわんちゃんに迷惑がかかってしまうこともしばしば。場合によっては愛犬自身に悪い影響が出てしまうことも。ただ、このままではいけないと思っていても、どうすればいいのか分からない飼い主さんもいますよね。
そこで今回は、散歩中のしつけについて特集します。散歩中のしつけにおすすめの道具から具体的なしつけ方法、また実際のしつけの様子を撮影した動画まで紹介します。
散歩中の困った行動に悩んでいる飼い主さんはもちろん、自分のしつけがこれでいいのか迷っている飼い主さんもぜひご覧ください。
散歩のしつけには首輪?それともハーネス?
突然ですが、あなたは愛犬と散歩に行く際「首輪」と「ハーネス」、どちらを使っていますか?
実は、首輪とハーネスのどちらを使うかによって、しつけ時に愛犬にかかる負担が大きく違ってきます。まずは「首輪」と「ハーネス」、よりしつけに向いているのはどちらの道具なのかを知っておきましょう。
散歩時のしつけにおすすめなのはハーネス!
散歩時に愛犬につけるものには「首輪」と「ハーネス」がありますが、ここでは「ハーネス」をおすすめします。理由は、ハーネスの方が愛犬の首への負担が少ないからです。犬は他の体の部分に比べて首が弱く、強い衝撃がかかると首を痛めてしまうことがあるのです。
また、そのハーネスにも様々な種類があります。しつけに向いているハーネスを簡単に紹介しますね。
フロントクリップハーネス:リードの結合部分が犬の胸元にあるタイプ
バッククリップハーネス:リードの結合部分が犬の背中にあるタイプ
コントロールハーネス:犬が急に強い力でリードを引っ張った際、圧力が体の一部にかかり、動きづらくなるタイプ
また、犬の大きさによってもおすすめのハーネスは違ってきます。
- 超小型犬・小型犬:バッククリップハーネス
- 中型犬:バッククリップハーネス または フロントクリップハーネス
- 大型犬:フロントクリップハーネス または コントロールハーネス
愛犬に合ったハーネスを着用させて負担を軽くしつつ、しつけを行うようにしましょう。
ここだけは気をつけて!首輪の注意点
それでも「うちの愛犬には首輪をつけさせたい!」という飼い主さんは、これから挙げる点を注意して首輪をつけるようにしましょう。
超小型犬・小型犬に首輪をさせるのは散歩以外の時だけにする
下に紹介する超小型犬・小型犬は首が弱く、散歩時に首輪をつけると首に負担がかかり過ぎてしまいます。
超小型犬:チワワ、パピヨン、マルチーズ、ポメラニアン、ヨークシャーテリアなど
小型犬:パグ、ビーグル、フレンチブルドッグ、ミニチュアダックスフント、ボストンテリアなど
特にしつけの際リードを飼い主さん側に引っ張ると、それに伴って首輪に圧力がかかり、愛犬の首に大きな負荷がかかってしまいます。ひどくなると愛犬の首に異常が生じて、骨折などの重傷を負ってしまう恐れもあるのです。
どれもわんちゃんにとっては苦しい症状のものばかりです。これらの症状を防ぐためにも、超小型犬・小型犬に首輪をつけるのは散歩以外の時だけにして、散歩時はハーネス、特にバッククリップハーネスを使うようにしましょう。
しつけがしっかりできている場合も油断しない
「うちの子はもうしつけがしっかりしているから、首輪でも大丈夫」という飼い主さんもいますよね。たしかに、引っ張り癖が無いわんちゃんなら首輪でも大丈夫な場合が多いです。
それでも、「万が一」という可能性は否定できません。突然の大きな音や出来事によって愛犬がパニックを起こし、リードを思いきり引っ張ってしまうことがあります。その時にしていたのが首輪だとすると、先ほど述べたように首に異常が生じる可能性が大きくなります。そう考えるとゾッとしますよね。
しつけがしっかりできていても、引っ張りの心配が無い場面やドッグランなどリードを外せる場面以外では、愛犬にハーネスを着用させることをおすすめします。
愛犬の命を守れるのは飼い主さんだけです。散歩時の不測の事態に備えるためにも、愛犬に身につけさせる物はより安心・安全な物を選ぶようにしましょう。
散歩前に!事前に行えるしつけ方法
「愛犬に合ったハーネスを用意したから、さっそく散歩に行こう!」という飼い主さん。でも、もうちょっとお待ちください。愛犬といきなり散歩に行って実践するのではなく、ある程度家の中でしつけを行ってから出掛けた方が、愛犬も落ち着いて行動できます。
このように外の世界はたくさんの人や車、音や匂いなどの刺激に溢れていて、愛犬が飼い主さんに集中しづらい環境です。そんな中にいきなり飛び込んでしまうと、愛犬はたくさんの刺激に戸惑い、しつけどころではなくなってしまいます。そのため、家の中でリハーサルや「準備しつけ」を行うことが大切なのです。
やり方は簡単です。まず、犬の気を引きそうなおもちゃ類は片付けます。ご飯も片付けた方がいいですね。
そうして愛犬が飼い主さんに集中できる環境を作ったうえで、アイコンタクトやリーダーウォークの練習を行います。愛犬の気を引きそうな物が何も無いので、愛犬も落ち着いて飼い主さんの指示に集中できます。結果、刺激の多い外に出ても飼い主さんの指示に従って、落ち着いて行動できるようになります。
「アイコンタクトやリーダーウォークってどうやるの?」という疑問については、次の章でその詳細を紹介するのでご覧ください。
ケース別!散歩時の「困った」を解決します!
それではここから、散歩時の「困った」をケース別に解決していきます。ここで紹介するのは以下の3つです。
- 愛犬が散歩時に引っ張る
- 愛犬が散歩時に拾い食いをする
- 愛犬が散歩時にところかまわず吠える
どれも散歩時には困ってしまう行動ですよね。すべての行動に当てはまってしまったという場合は、できることから少しずつしつけを始めてみましょう。
それでは具体的に見ていきます!
しつけ1|愛犬が散歩時に引っ張る
最初は、愛犬が散歩時にリードを引っ張ってしまうケースです。
どうしてこんな行動をするのか。それには以下の理由が考えられます。
- ストレスが溜まっている
- 愛犬が、自分が散歩を主動していると思っている
- 飼い主さんがリードを引き過ぎている
「ストレスが溜まっている」については、散歩自体がストレス解消になるので、散歩をしていく中である程度解消されていくはずです。特に運動不足でストレスが溜まっている場合は、散歩の距離を長くするなど、愛犬の運動量を増やすようにしましょう。
では残りの2つ「愛犬が、自分が散歩を主動していると思っている」、「飼い主さんがリードを引き過ぎている」を解決するにはどうすればいいのでしょうか?
それには「アイコンタクト」と「リーダーウォーク」が役立ちます。
基本的には、アイコンタクトで愛犬の意識を飼い主さん自身に集中させ、リーダーウォークで自分の傍を歩くようにしつけます。この時、飼い主さんの左右どちらについても歩けるよう訓練しておくと、愛犬もその時の道の状態ごとに柔軟に対応できます。
リーダーウォークがスムーズに行えるまでは、おやつやおもちゃをあげる、褒め言葉となでることをセットにするなど、愛犬にご褒美をあげながら訓練しましょう。
そしてリーダーウォークに慣れてきたら、おやつやおもちゃをあげる回数を減らし、最終的には褒め言葉だけになるよう、徐々にシフトしていきましょう。
飼い主さんもリーダーウォークを行う過程で、リードを引き過ぎないように意識して練習しましょう。最終的に、リードに少し「たるみ」ができるぐらいの持ち具合で愛犬と散歩ができるようになるのが理想ですよ。
しつけ2|愛犬が散歩時に拾い食いをする
次は、散歩中に拾い食いをしてしまうケースです。
愛犬が止まったと思ったら、口をモグモグしている。焦ってしまいますよね。どうしてこんな行動をするのか。それには以下の理由が考えられます。
- 元々保護犬だった場合は、その時のクセが抜けていない
- 栄養バランスが整っていない食事をしている
- 狩猟本能から拾い食いをしている
「元々保護犬だった」、「栄養バランスが整っていない食事をしている」という場合は、いつも食べているご飯を見直しましょう。栄養バランスが整ったご飯に変えることでわんちゃんも満足感を覚え、拾い食いが治まる可能性が高くなります。
最後の「狩猟本能から拾い食いをしている」場合は、好奇心の強いわんちゃんや狩猟犬などに多い理由です。
拾い食い自体は、わんちゃんにとって自然な行動だという意見もあります。それでも、道には殺鼠剤の入った食べ物や感染症の原因になるものが落ちていることもあり、拾い食いは止めさせたいところです。ではどうすればいいのでしょうか?
まずは、散歩中もアイコンタクトをしっかり行うようにしましょう。定期的に飼い主さんに注目させるようにしておくと、愛犬も飼い主さんとの散歩に集中するようになります。
そして、「待て」や「ストップ」といった指示に愛犬が従えるよう、事前にしつけを行っておくことも大切です。愛犬が何かを食べそうになった時に「待て」や「ストップ」といった指示をすれば、愛犬は食べるのを止めるからです。食べるのを止めた時は褒めてあげるようにすると、愛犬も「落ちたものを食べなければ褒めてもらえる」と学習します。
また、口に入れてしまった時のために「ちょうだい」などの合図を教え、飼い主さんが自然に、愛犬の口の中に手を入れられるようなしつけもしておきましょう。食べた物をすぐに吐き出せば、愛犬への影響は少なくなります。
それでも拾い食いをして飲み込んでしまった場合は、念のため動物病院へ行って検査をしてもらいましょう。食べてしまった物に、愛犬の体に悪いものが含まれていることもあります。食べた状況などを獣医さんに説明し、必要な処置を受けましょう。
しつけ3|愛犬が散歩時にところかまわず吠える
最後は散歩中にところかまわず吠えるケースです。周りの人や他の犬に吠えてしまうと、散歩どころではなくなってしまいますよね。
でも、吠えているのには、何かしら理由があるのです。
わんちゃんが吠えるのには、上で紹介したように様々な理由があります。でも、できれば吠えてもらいたくないのが飼い主さんの本心。では、どうすればいいのでしょうか?
一番いい方法は「犬の社会化を促す」ことです。
散歩中に吠えてしまうわんちゃんのほとんどが、人や他の犬、車などに慣れていないことが多いのです。そこで、子犬のうちから様々な経験を積ませて犬の社会化を促すことが、以降の吠え癖を防ぐことに繋がります。もちろん、成犬になってからでも吠え癖は治すことができます。
吠え癖は治るまでに時間がかかり、飼い主さんの根気も求められるしつけです。気長に、でもしっかりしつけて落ち着いて散歩ができる状態を目指しましょう。
飼い主さんもマナーを守ろう!散歩時に愛犬がトイレをしたら
ここまでわんちゃんのしつけについて紹介してきました。ですが、もう1つ確認をしておきたいことがあります。飼い主さん自身のマナーについてです。
特に愛犬のトイレのマナーは、守らないと多くの人に迷惑をかけてしまいます。たとえば、飲食店の店先でトイレをしていまい片付けられなかった場合、「来客が減った」と飲食店側から苦情を言われてしまうことも考えられます。
そうならないためにも、ここからは飼い主さん側の、愛犬のトイレ時のマナーについて見ていきましょう。
愛犬にトイレはさせない方がいい?
家で愛犬のトイレは済ませておいたのに、散歩に出掛けたら愛犬が急に排泄してしまったというケースもありますよね。本当は家でのみ排泄するのが理想なのかもしれません。このようなお願いをしている行政区域もあるほどです。
トイレが終わってから、散歩に連れて行きましょう
犬は訓練をすれば、家の中で上手にトイレをすることができます。トイレのために犬の散歩に行くのでなく、家の中でトイレをしたご褒美に散歩に行くようにしましょう。
たしかに、事前にトイレを済ませておけば散歩中にトイレをすることも少なくなりますし、「散歩の時間=トイレタイム」ではありません。
ですが、わんちゃんは生き物です。「絶対にトイレをしない」という断言はできません。人間だって家でトイレを済ませていても、外出先で急に行きたくなることがありますよね。愛犬だって同じです。散歩を楽しい時間にするためにも、備えはしておいた方がより安心です。
ウンチ処理セットは必ず持って行こう!
上で述べたように、犬の排泄に対応できるようにしておくことは飼い主の最低限のマナーです。そのため散歩に行く際、ウンチ処理セットは必ず持って行くようにしましょう。
荷物にはなってしまいますが、ウンチ処理セットを持っていることで、いざという時にも素早く対応できます。すてきな散歩タイムを過ごすためにも、ぜひ持って行きましょう。
ぜひ参考に!しつけの様子を動画で見よう!
最後に、実際のしつけの様子を撮影した動画を紹介します。これらの動画を参考に、愛犬の散歩時に起こる「困った」に合ったしつけの方法を試してみてください。
引っ張り防止のしつけ動画
拾い食い防止のしつけ動画
吠え防止のしつけ動画
子犬時のしつけ動画
まとめ
ここまで、散歩時の「困った」に対応するしつけの方法や、実際にしつけを行っている際の動画などを紹介しました。まとめると以下のようになります。
- 散歩時のしつけには、負担が少ないハーネスで!
- 家の中でリハーサルをしてみよう
- 散歩時の「困った」は少しずつ解消しよう
- 急な愛犬のトイレに備えることは飼い主さんのマナー
- 具体的な方法は動画を参考にしてみよう
散歩時のしつけは、飼い主さんにとって「しつけの腕の見せ所」です。きちんと愛犬がしつけされていれば、周りの人や他の飼い主さんから一目置かれるようになるはずです。
また、しつけがされていれば愛犬も飼い主さんを信頼しているので、落ち着いて散歩ができます。信頼関係がしっかり結ばれた静かな散歩。想像するだけで楽しいですよね。
「外に出ると周囲に迷惑をかけてしまう」と外に出ることを怖がらず、家の中でのしつけがある程度できたら、積極的に散歩に出掛けてみましょう。きっと愛犬も新鮮な世界を喜んでくれるはずです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。この記事があなたとわんちゃんのすてきな散歩タイムに繋がれば幸いです。