先日、ラテとマロンのフィラリアの検査に、かかりつけの動物病院へ行ったときのことです。待合室で近所の方と偶然お会いしました。
「今日は、診察ですか?」私の方から声をかけると、「はい。この子が先週吐いてしまって・・・。どうもストレスがもとで吐いたらしいんです。」
えっ、「犬がストレスで吐く? 」私はちょっと驚きました。犬も調子が悪いと人間と同じように吐くのは分かりますが、ストレスがもとになることがあるなんて知りませんでした。そもそも犬はどんな場面で吐くのかもちゃんと分かっていません。まずい、これはちょっと調べてみなくては!
ということで今回は「犬が吐く原因は何なのか」「犬はどんなときにストレスを感じるのか」「犬のストレスを軽減するためにはどうしたらよいのか」など調べたことをご報告します。
これをお読みになれば、普段はなかなか見えてこない、わんちゃんの心の中を垣間見ることができるかもしれませんよ!
犬が嘔吐する原因は何? 「心配のいらない嘔吐」と「放っておけない嘔吐」
そう言えば、私の親戚の家のわんちゃんは車に酔うとすぐに吐いてしまい困っています。
どうしても車で連れて行かなくてはならないときには、おばさんが助手席で抱っこして、わんちゃんは車の窓から顔だけ外に出しているのです。そうすれば顔が風にあたるから気がまぎれるらしいのです。
冒頭でご紹介した近所のわんちゃんはストレスでの嘔吐、そして親戚のわんちゃんは車酔いでの嘔吐。他にもわんちゃんが吐く原因はありそうです。
フィラリアの検査も無事に終わり、ちょうどよい機会なので先生に尋ねてみることにしました。
マロンは食べ物を慌てて食べたときに吐いたことはありますけど・・・。
心配の要らない一時的な嘔吐
- 食べすぎ・早食い
- 空腹(この場合は胃液を吐く)
- 水のがぶ飲み
- 食事内容の急な変更
- 車酔い
- 散歩中に雑草を食べた
- 夜間空腹時の胃酸過多や逆流性食道炎(この場合は「白い泡=唾液や胃液」や「黄色い液体=胆汁」を吐く)
- 原因となるものを吐いた後、元気である
- 嘔吐は一時的であり、繰り返さない
- 他の気になる症状が見られない
このような場合には、あわてる必要はありません。しばらく安静にさせて様子を見ましょう。ただし、安静にさせておいても様子がよくならない場合は、獣医さんに診てもらいましょう。
緊急性の高い危険な嘔吐
- 胃腸炎、膵炎、腸閉そくなど、消化器の病気
- 犬ジステンバーウィルス感染症、犬パルボウィルス感染症、レプトスピラ感染症、犬コロナウィル感染症、犬伝染性肝炎などの感染症
- 腎不全、肝不全、副腎皮質機能低下症、胃潰瘍、腫瘍など、臓器の病気
- 熱中症、アレルギー
- 毒物、薬品
- ぐったりして元気がない
- 苦しそうにしている
- 嘔吐以外の症状(発熱、下痢、けいれん、呼吸困難など)がある
- 1日に何度も吐く
- 吐いたものが濃い茶色や黒色(胃の粘膜からの出血による色)である
- 吐いたものから便臭がする
このような場合には、何らかの病気や毒・薬物が原因となっている嘔吐である可能性が高いので、すぐにでも動物病院へ連れていってください。獣医さんが判断しやすいように、嘔吐物を容器にれて持っていくことをお勧めします。
愛犬の心の病!? ストレスによる嘔吐
でも、ストレスはわんちゃんの心の問題にも関わることだからね、簡単には片づけられないんだ。甘く見ていると大変なことになる場合もあるんだよ。
先生、わんちゃんのストレスについてもっと詳しく教えてください!
犬がストレスを感じるのはどんなとき?
わんちゃんはどんなときにストレスを感じるのか、早速、先生から聞いたことをまとめてみました。
『いやだよ~! 行きたくないよ~!』無理やりの散歩や運動
すべてのわんちゃんが必ず「散歩好き」とは限りません。飼い主さん以外の人や動物に会うのを怖がるわんちゃんもいます。もしかしたら散歩中に怖い経験をしたことがトラウマになっているのかもしれません。
また、「首輪やハーネスが体に合っていなくて身に着けるのが嫌だ」とか、「無理にリードを引っ張られて苦しかった」などという経験が頭にこびりついているのかもしれません。
こうなると、わんちゃんにとっては散歩に連れていかれること自体が大きなストレスです。
また、過度の運動もわんちゃんにとってはストレスになることがあります。わんちゃんの年齢や体力、足の状態などをちゃんとチェックした上で、適度な運動量と時間を守りましょう。
散歩にせよ、運動にせよ、無理強いはしないようにしましょう。わんちゃんに身体的な負担だけでなく精神的な負担もかけることになります。
『ねえ、みんな仲良くしてよ!』家族の喧嘩
わんちゃんはとても賢くて繊細な動物です。特に室内飼いのわんちゃんたちは、飼い主さん家族の事をよく観察して、いろいろなことを感じ取っています。「どうせ言葉が分からないから」と思ったら大間違いです。
飼い主さんの家族が仲が悪くて喧嘩ばかりしていると、わんちゃんはストレスを感じます。たとえ喧嘩をしてもわんちゃんの目の前で大声で怒鳴ったり物を投げつけたりといったことだけは、決してしないようにしましょう。
親の喧嘩は人間の子どもに悪影響を及ぼすと言われていますが、わんちゃんも同じなのです。
『初めての場所は怖いよう~ 』引っ越しや環境の変化
猫ちゃんは「家になつく」と言いますが、わんちゃんも住み慣れた環境が変わることには抵抗があります。ましてや家も周囲の環境もそっくり変わってしまう引っ越しは、大きなストレスになります。不慣れな環境に馴染むまでは、不安と緊張が続くからです。
引っ越しと同時にわんちゃんの身の回りの道具や食器も新しくきれいにしてあげたくなるかもしれませんが、何もかも変わってしまうとより一層不安が増します。
わんちゃんが新しい環境に慣れるまでの間は、今まで使っていた物を使う方が無難です。わんちゃんのお気に入りの毛布やおもちゃも、忘れずに新居に持って行ってあげてくださいね。
『前はもっとかまってくれたのに・・・ 』家族構成の変化
家族が新しく増えるということは、その家にとってとても幸せなことですね。結婚で配偶者が増える、出産で子どもが増える、新しく子犬や他の動物を飼い始める・・・。
いくつかのシチュエーションが考えられますが、いずれにせよ、わんちゃんにとっては、それまで自分に向けられていた愛情が「新参者」に向けられてしまうという危機的状況なのです。
そうなると当然、わんちゃんは大きな不安を覚え、それがストレスになります。犬同士で喧嘩をしたり、新しい家族を攻撃したりと、問題行動へと発展する可能性もあります。
それまでと同じようにはできなくても、スキンシップの時間をできるだけ取って一緒に遊んであげるようにしましょう。そうすることでわんちゃんの不安を徐々に解消することができます。そのうちにわんちゃん自身も新しい家族にだんだんと慣れてきます。
犬の「ストレスサイン」を見逃すな!
じゃ、これからわんちゃんの「ストレスのサイン」を紹介するね。これには、「行動上のサイン」と「身体上のサイン」の2つがあるんだ。
行動に現れるストレスのサイン
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カーミングシグナル
カーミングシグナルとは、わんちゃんが恐怖や不安を感じたときに自分の気持ちを落ち着かせたり、相手の気持ちを落ち着かせて敵意のないことを示したりする行動のことです。どの犬種にも備わっている行動パターンです。
以下に挙げるカーミングシグナルは、わんちゃんのストレスサインとして一般的に見られるものです。
カーミングシグナル- 体をブルブルと振る
- 体を固くする
- 尻尾を下げる
- 下げた尻尾を後ろ脚の間に巻き込む
- あくびをする
- 体を舐めたり、掻いたりする
- 舌を出してハアハアと息をする
- 同じ場所を行ったり来たりする
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問題行動
ストレスが収まらずエスカレートすると、わんちゃんは問題行動を起こすようになります。これには次のようなものがあります。
問題行動- 攻撃行動
- トイレ以外でのマーキング
- 分離不安症(飼い主と離れることで不安な気持ちになりパニックを起こすこと)
- 自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回る
- 自分の体の同じ部分を舐め続ける
- 出血するほど尻尾を噛む
- 散歩中に頻繁に後ろを振り返り怯える
身体に現れるストレスのサイン
行動から読み取れるストレスサインとは別に、わんちゃんの体に現れるストレスサインがあります。
- 嘔吐をする
- 下痢をする
- 食欲が無くなる
- 食欲が異常に増す
- フケが増える
- 毛が抜けてくる
これらの兆候や、上に挙げたような著しい問題行動が見られる場合には、早めに獣医さんに診てもらいましょう。放っておくと、わんちゃんの心と体に深刻な影響を与える可能性もあります。
予防にもなる! 愛犬のストレス解消法を紹介
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スキンシップを増やす
側に座って撫でてあげる、抱っこをする、体をマッサージしてあげるなどすることで、わんちゃんの不安をやわらげリラックスさせることができます。優しい言葉をかけてあげることも忘れずに!
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適度な遊びや運動をさせる
わんちゃんが喜びそうなおもちゃを使った遊びや、負担にならない程度の適度な運動はワンちゃんの心をリフレッシュさせます。ひも付きのボールなら屋外でも屋内でも遊べますよ。
関連記事愛犬とのボールを使った遊び方についてはこちら -
日光浴をさせる
優しい日差しの中で日光浴をするのも効果的です。森や公園での森林浴などは飼い主さんも一緒にリフレッシュできますね。
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犬用のリラクゼーション音楽を聴かせる
わんちゃんも癒しの音楽でリラックスすると穏やかな気持ちになります。最近では人間だけでなくいろいろな動物に音楽療法が試されていますね。味噌や酒にまで音楽を聴かせているとか・・・。飼い主さんも一緒に音楽を聴きながらお昼寝するのもいいですね。
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犬用のガムなどを与える
噛み癖のあるわんちゃんには市販の犬用ガムをあげてみるのもよいでしょう。しっかり噛むことでストレス発散でき、おもちゃなどの誤飲防止にもなります。
★ グリニーズプラス
ペットショップや動物病院でもよく目にする緑色のガム。自然素材を原材料に使用していて安心安全で歯磨き効果もバッチリです!
★ドギーマン無添加良品牛アキレス
野性味あふれる味と香りでわんちゃんたちに大人気! しっかり噛んでストレス発散できるガムスナックです。
★ジャンボシューズ犬用ガム
100%牛皮を使用した栄養満点のたんぱく質強化ガム。わんちゃんの歯と歯茎を丈夫にしながらストレス解消にも役立ちます!
まとめ
最初「犬がストレスで吐く」ということを聞いた時にはちょっと驚きましたが、今回調べていくうちに、嘔吐だけに限らずストレスがいろいろな症状を引き起こすことがよく分かりました。また、放っておくと危険な症状があることも学びました。
最後にもう一度大切なポイントを押さえておきましょう。
- 犬はストレスがもとで吐くことがある。
- 犬の嘔吐には「心配の要らない一時的な嘔吐」「緊急性の高い危険な嘔吐」「ストレスによる嘔吐」がある。
- 犬は散歩や運動の強要、環境の変化や家族構成の変化などによりストレスを感じることがある。
- 犬のストレスのサインは行動や身体に現れる。
わんちゃんも人間と同様に賢く繊細な動物です。日常のささいなストレスが積み重なって、重い「心のやまい」にならないように、私たち飼い主がちゃんと見守ってあげなくてはなりませんね。