犬を飼っていて気になるのが臭いの問題だと思います。外から帰って来て「臭うな」と感じたり、自分で気付かなくてもお客さんが来たときに「家が臭いんじゃない?」と指摘されて気になったり飼い主さんによって色んなケースがあると思います。
確かに臭いがきついとそれだけでもストレスに感じますから、これはとても大事なことではあります。
しかしここで気を付けてほしいのは、その臭いの原因についてです。単に臭いだけの問題だったらその消し方はいくらでもあるし、それはただの手入れの問題です。
でも、実はわんちゃんの臭いに、健康状態の悪化や病気の兆候が表れることがあるのをご存知でしょうか?
私もラテとマロンの臭い対策に腐心していた時期があったのですが、取り組んでいくうちに臭いはただ消臭剤かけて終わり、というような単純な問題では無いことに気づかされました。
今回は皆さんの関心の大きいと思われる、わんちゃんの臭いと体調の関係についてご紹介したいと思います。
犬の臭いと体調
わんちゃんには足の裏などを除いて汗腺はほとんどありませんので、汗臭くなることはありません。しかし体中に皮脂腺と直結したアポクリン線があります。
これは人間の体だと腋の下にあるものですからどんな臭いを発するかは、すぐにご理解いただけるのではないでしょうか。
つまり、特に病気や体調不良が無い健康なわんちゃんでも、放っておけば生活しているだけで臭いがしてくる、ということです。
臭いだけでなく衛生の問題もありますので、定期的に犬用シャンプーなどで体を洗ってあげる必要があります。でも毎日のようにやる必要は無くて、頻度としては月に1,2回で十分です。
では体調を崩したときはどうなるのでしょうか?
酸っぱい臭いがする
腸内環境が悪化していることが考えられます。腐った臭いのほか酸っぱい臭いも腸内の悪玉菌が原因と考えられます。食事が体に合わなかったり期限切れで劣化したドッグフードが原因となることが多いので、見直してみてはいかがでしょう。
動物病院に行けば犬用の整腸剤を処方してくれますが、それ以外にもドッグフードやサプリに体臭やうんちの臭いを消す効果のあるものがありますので、そうした製品で症状が治まってしまうことも多いようです。
食生活を改善した上で、まだ臭いが続くようなら何らかの病気の可能性も考えられますので、動物病院で検便してもらうなどの検査してもらった方が良いでしょう
鉄の臭いには要注意
便が鉄臭い
黒い鉄臭いうんちはは胃や小腸で出血しているときに見られる血便です。血便の色は赤い血液の色、と考えがちですが黒くなっているのは胃や腸を通過する間に色が落ちてしまうからです。
視覚的には赤い血が出た方が症状が深刻に見えるかもしれませんが、黒い血便の方が重病のケースが多いです。ですからこのような場合はすぐに病院に行く必要があります。
口が鉄臭い
口が鉄臭いときは重篤な病気の可能性もあるので、特に注意が必要です。臭いの原因としては歯周病や口内の腫瘍が考えられます。軽いものも含めれば、3歳以上のわんちゃんの80%以上が歯周病にかかっていると言われていますが、それが悪化すると歯茎が傷んで出血して口が鉄臭くなることがあります。
口内に腫瘍が出来ていてそれが臭っている場合は、最悪がんの可能性があるので一刻も早く動物病院に連れて行く必要があります。
歯周病とは??
歯周病は人間だけでなく、犬や猫でも最終的には歯を失う大きな原因です。歯垢中に存在している細菌に対して動物が炎症反応を起こすことによって、歯肉の他に歯根膜、セメント質および歯槽骨などの歯周組織までおかされ、最後には歯がグラグラして抜け、さらに悪化すると鼻からの出血、顎の病的な骨折、口腔内粘膜の潰瘍、顎の骨炎や壊死などが起こります。歯周病は起きてしまうと完全に回復させることは困難です。
犬や猫の歯周病は、口腔内疾患の中でもっともその発生率が最も高く、3歳以上の犬と猫の80%以上に歯周病が生じているといわれています。また、繁殖した細菌は血液の中に入り全身に主要臓器に周り、感染症を引き起こします。特に血液が豊富に流れる肺・心臓・肝臓・腎臓などでは重大な病気が発生しやすいといわれています。また、慢性的な菌血症の原因にもなります。時には神経系への感染もみられています。
(1) 肺 ・・・ 線維素性肺炎
(2) 関節
(3) 腎臓 ・・・ 腎炎
(4) 肝臓 ・・・ 肝臓疾患
(5) 心臓 ・・・ 心筋膜炎
心筋変性
(6) 血液内での細菌増殖引用:南動物病院グループ
体中が鉄臭い
体のある特定の部分が鉄臭い場合病気が疑われます。しかし体中あるいは複数の個所が鉄臭い場合は、病気ではないかもしれません。
犬種によって臭いの強さもまちまちですので断言はできませんが、わんちゃんの全身にあるアポクリン腺からの分泌物が酸化するなどして、鉄のような臭いになることがあるからです。
しかし素人判断は危険ですから、心配であるならまずは動物病院で獣医に相談することをお勧めします。
下痢と臭い
下痢の原因で最もありふれたものの一つは食事によるものです。この場合腸内で悪玉菌が増加してアンモニアや硫化水素のような腐敗臭のするガスを発生させます。そうすると下痢の前兆としておならが臭くなることが有ります。
わんちゃんの下痢の種類は大きく分けて、大腸性と小腸性の2種類があります。その原因については、食事、環境変化によるストレス、異物を誤飲、感染症、消化器疾患など様々なものが考えられます。
大腸性の特徴は1回ごとの量が少なく回数が多くなります。意外と元気なままで食欲もあまり変わりません。
大腸性の下痢は出口付近で起こるので、出血が目立ちやすいですが、血便が出ても大事に至らないことが多いです。
小腸性の場合は水便になるため、回数は少なくても一度の量が多くなります。元気がなくなって食欲が低下するなどの特徴があります。大腸性に較べて症状が深刻になりやすいです。
病院に連れていくかどうかについては、基本的には症状が2日続くなら病院に行くことをおすすめします。
でも原因が単なる軽い食あたり程度だと、たいてい1、2日で症状が収まってしまいます。成犬の場合いつもと比べてもそれほど弱っている様子が無いなら、しばらく様子見で良いでしょう。
ただしその場合はすぐにいつもの固形物の食事に戻すのではなく、ドッグフードを水でふやかしたり流動食にして、量も減らした方がいいです。
これで調子がそのまま戻るようなら、食事もいつも通りに戻していけば良いし、病院にも連れて行かなくても大丈夫でしょう。
肛門腺の臭い
散歩に出て犬同士が出会ってあいさつする時に、お互いのお尻の臭いを嗅いでいるのを見たことがあると思います。あれは肛門腺の臭いで相手を識別しているのです。
わんちゃんのお尻を清潔にしているはずなのに臭い、というときは肛門腺の臭いが原因の可能性があります。臭いは「強烈な獣臭」「錆びた鉄の臭い」などわんちゃんによっても違うし、人によって感じ方や表現も様々です。
肛門腺が匂うなら絞る
肛門腺の液は、普通は排泄するときにうんちと一緒に出てしまうので絞ってあげる必要はないです。でも小型犬や老犬、病気で弱った犬は肛門腺の液がうまく排出できないことがあります。
排出できないまま放っておくと細菌が繁殖して炎症を引き起こしたり、最悪肛門嚢が破裂する可能性もあるので、わんちゃんがお尻をしきりと気にするようなら飼い主が肛門腺を絞ってあげる必要があります。
やり方は、肛門を中心に時計の4時と8時の方向から中央に向かって絞り上げる、といった説明がよくされますが、説明を読むより動画などで実際のやり方見をた方が理解が早いと思います。
うまく汁が絞れないならプロ頼む
肛門腺を絞るのは素人でも憶えられるとは思いますが、個体差もあるので中にはやりにくいわんちゃんもいるかもしれません。そんな場合は動物病院やペットトリマーにやってもらう、という選択もあります。
料金も500円程度ですので、自分でやるのはちょっと怖いと感じる方や自信の無い方は、一度試してみてはいかがでしょうか。健康診断や爪切りに行った時のついでにやってもらうのでも良いと思いますよ。
家の臭いも消したい
わんちゃんの健康状態の悪化は体臭の変化に表れます。でも飼い主がいつもペット臭が染みついた環境にいては鼻がそれに慣れてしまって気付くのに遅れてしまいます。
そうならないためにも、普段から家の中になるべく臭いが付かないようにして、清潔な状態を保つことが大事です。それはそのまま病気予防にもつながるわけですからね。
臭い対策を優先するなら自宅にカーペットやカーテン、畳を使わず全てフローリングというのが掃除もしやすくて理想的ですが、現実にそのようにするのは難しいかと思います。
いったん付いたわんちゃんの臭いは簡単には落ちません。ここでは臭い対策に役立ちそうな小技や商品をご紹介します。
・カーペット、カーテンなど布類は臭いが付きやすい
・犬用の布で出来たおもちゃはこまめに洗う
フンの臭いは重曹・クエン酸で消してしまう
布類にわんちゃんのうんちが付着してしまうと、普通に洗っただけでは臭いがなかなか落ちてくれません。そんな時は重曹が便利です。重曹を水に溶いてペースト状にしたもので洗うと効果的ですから是非お試しください。
重曹のほかクエン酸を使って手軽に消臭スプレーを作ることもできます。興味のある方は挑戦してみてください。
(A)クエン酸水スプレーの作り方 1: 500ミリリットルの水道水に、クエン酸をスプーン1~2杯分いれる。 2: よく振ったら完成。 効果:クエン酸は弱酸性、尿などアルカリ性のニオイや汚れを中和する。オシッコのニオイ、公衆トイレの嫌なニオイはクエン酸水スプレーで、ニオイが気にならなくなる。
(B)重曹水スプレーの作り方 1:500ミリリットルのぬるま湯に、重曹をスプーン1~2杯分いれる。 2:よく振ったら完成。 効果:重曹は弱アルカリ性、酸性のニオイや汚れを中和する。生ゴミなどの腐臭系の消臭に効果あり。
この両方のスプレーを組み合わせて使うといいそうだ。
引用:J-CASTニュース
トイレシートを臭わないタイプにする
トイレシートにも臭いにくいタイプがあるので一度試してみてはどうでしょうか。炭入りのものだと長時間の消臭効果が期待できる製品があります。細かいことですが、捨てるときにも汚物を内側にするよう気を付けるなども大事ですよ。
スプレーで臭いを落とす 犬が舐めても安心
植物性フィトンチッドの殺菌・消臭剤
フィトンチッドとは森林の樹木が放出する化学物質の事です。殺菌力を持った揮発性の化学物質なのですが、これに消臭効果があります。化学物質と言っても天然由来なので害はなくわんちゃんが舐めても大丈夫です。消臭のほかに抗菌、抗カビ、防虫効果なども望めます。
使い勝手は非常に良く、犬に直接かけても良いし気になる臭いのもとに直接吹き付けても良いです。居ながらにして森林浴をしているようなリラクゼーション効果もあり、非常におすすめです。
バイオチャレンジ
わんちゃんが舐めても大丈夫、というコンセプトでもう1点ご紹介します。バイオチャレンジはスプレーで吹き付けて使うタイプの殺菌・消臭剤です。ペットや生き物にとって有害な塩素や界面活性剤は一切使われておりません。比較的お手頃な値段で安心してご利用できます。
機械の力で臭いを落とす 脱臭専用機
一般的な空気清浄器にも脱臭機能が付いたものがありますが、それでは臭いを落とすに少々パワーが足りません。そこでお勧めするのが脱臭機能に特化したタイプです。
空調機メーカーの富士通ゼネラルから脱臭に特化した非常にユニークな製品が発売されています。その性能は強力で、なんと実際に動物病院でも使われているので実力は折り紙付きです。
静音設計のため運転音もとっても静かなので、使っていても気にならないし、わんちゃんを音でびっくりさせることもありません。ペットの臭いにお悩みの方は検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
犬と臭いの体調との関係や家屋の消臭についてご紹介しました。
- 口内やうんちの鉄の臭いには重病の可能性もあるので要注意
- 小型犬は肛門腺を絞ってあげる必要がある
- 家の中の掃除は病気予防の一環でもある
病気は罹らないように予防するのが最善ですから、わんちゃんの体調の悪化を見逃さないためにも、飼い犬の臭いには日頃から注意を向けておくおく必要があると感じました。
自宅にお客を呼ばないなら、特に自宅の臭いは気にしなくてもいいかなと思っていたのですが、臭いの変化を見逃さないためには、飼い犬を清潔に保つ事と家の中の防臭・消臭に普段から取り組むことが大事だと思いました。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。