雨上がりの翌日、私はラテとマロンを連れて、いつもの公園に遊びに来ました。すぐに、かわいいビーグル犬を発見。
「ほうら、取っておいで!」
そう言って、飼い主さんがおもちゃのボールを投げると、そのわんちゃんは勢いよく駆け出しました。楽しそうに夢中でボールを追っています。ところが・・・
「あっ、ちょっと待って! ストップ! ストップ!」
時すでに遅し。わんちゃんはボールの後を追って、小さな水溜まりの中へ勢いよく飛び込んでしまいました。
「こんなことは、しょっちゅうですよ。」と飼い主さんは苦笑いです。
このわんちゃんほどワイルドではありませんが、ラテとマロンも毎日のように、じゃれあいながらボールで遊んでいます。
でも、どうして犬はボールが好きなのでしょうか。特にボールを好む犬種があるのでしょうか。おもちゃのボールにはどんな種類があるのでしょうか。次々に疑問が湧いてきました。
それで今回は、わんちゃんたちを夢中にさせてしまうおもちゃのボールについて調べてみることにしました。
犬はどうしてボールが好きなの?

そもそも、どうしてわんちゃんたちはボールが好きなのでしょうか。調べていくと主に次のような理由がありました。
犬としての狩猟本能
長い歴史の中で、さまざまな目的に応じて犬種の改良が重ねられてきたとは言え、もともとの祖先であるオオカミから受け継いだ本能や習性は、現在のわんちゃんたちにも脈々と受け継がれています。
わんちゃんがボールを追いかけるのは、この犬としての本能の1つである、『狩猟本能』によるものなのです。
大昔、野生の犬(オオカミ)たちは集団で狩りを行っていました。時には巣穴から遠く離れた場所まで臭いを頼りに獲物を探し回り、発見すると、獲物を捕まえようと必死に追いかけていました。
この『狩猟本能』のおかげで今のわんちゃんたちも、犬本来のハンターとしての血が騒ぎ、〝逃げる”ボールを追いかけているのです。わんちゃんにしてみれば、ボールを獲物に見立てたハンターごっこのようなものなのです。
犬としての遊戯本能
もともと、ほとんどの動物は遊戯本能つまり、遊び心を持っています。その中でも、人間の遊戯本能はダントツですよね! わんちゃんたちも遊ぶのが大好きなので、ボール遊びをすることでその本能を満たしているのです。
遊戯本能が満たされないとストレスが溜まってきます。ストレスが溜まると、家の中でいたずらをしてしまうわんちゃんもいます。そんなときには、わんちゃんと一緒にボールを持って外へ出かけましょう。
飼い主への忠誠心
大昔から人と共に生活してきた犬は、働く動物として、友だちとして、家族として、人の役に立ってきました。今ではご存知のように、盲導犬、介助犬、救助犬、警察犬などが人のために懸命に働いてくれていますね。
そもそも、犬は知能が高く仲間同士で協力し合うため、リーダーを見分けて、それに忠実につき従うことが得意です。『忠誠心』と言えば、犬の代名詞のようなものと言ってもいいほどです。
ましてや、家族同様に愛し、世話をしてくれる飼い主さんには、深い忠誠心を抱いています。飼い主さんが投げたボールを追いかけて、捕まえて、くわえてくるという一連の行動は、「獲物を飼い主さんに一番先に渡して、喜んでもらいたい」という切なる思いからなのです。
そうやって獲物であるボールを飼い主さんに渡した後に、わんちゃんたちが何より心待ちにしているのは、飼い主さんからの誉め言葉です。
飼い主さんが「良くやったね! えらいよ!」と言って頭や体を撫でてくれると、もうわんちゃんはうれしくて、ちぎれんばかりに尻尾を振って、甘えてきます。もちろん、そこにご褒美のおやつがあると、うれしさ、倍増ですね。
こういった飼い主さんへの愛情から生じる忠誠心も、わんちゃんたちがボールを追いかける理由の1つなのです。
ボール遊びが大好きな犬種

冒頭でご紹介したビーグル犬は、ラテやマロンと比べるとボールを追いかける様子はとても活発で、むしろ野性的にさえ見えました。そこで、この「ビーグル君」のように、特にボール遊びが好きそうなわんちゃんたちについて、マロンとお話をしてみました。











- アイリッシュフルハウンド(ハウントドッグ)
- ウィペット(ハウントドッグ)
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- サルーキ(ハウントドッグ)
- シュナウザー(ハウントドッグ)
- スパニエル(ガンドッグ)
- スルーギ(ハウントドッグ)
- セッター(ガンドッグ)
- ダックスフント(ハウントドッグ)
- ダルメシアン(ハウントドッグ)
- バセットハウンド(ハウントドッグ)
- ビーグル(ハウントドッグ)
- フォックスハウンド(ハウントドッグ)
- ポインター(ガンドッグ)
- ボルゾイ(ハウントドッグ)
- レトリーバー(ガンドッグ) …など





もちろん、わんちゃんそれぞれの好き嫌いがありますので一概には言えませんが、犬としての本能がボールを追いかけさせているとしたら、ガンドッグやハウントドッグのような「狩猟犬」はボールが大好きな犬種であると言えますね。
愛犬とおもちゃのボールで遊ぼう

愛犬と遊ぶひと時は、わんちゃんと飼い主さんにとって、なくてはならない大切な時間ですね。犬用おもちゃを使った遊びの中でも、ボール遊びの利点はいろいろあります。どんな良いことがあるのでしょうか。
愛犬も飼い主もハッピー! ボール遊びの利点
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愛犬の追視力、集中力が高まる★
飼い主さんが投げたボールをキャッチしようとするとき、当然のことながら、わんちゃんはボールを見逃さまいと、神経を集中させて目でボールを追いかけます。この行為がわんちゃんの目と脳の機能を高めるのです。
人間も、テニス選手、野球選手、卓球選手、サッカー選手など球技アスリートは、動体視力が優れていますよね。それは生まれ持った特質もありますが、ほとんどが訓練のたまものに他ならないと言われています。わんちゃんも同じですね。
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愛犬の運動不足解消・ストレス発散になる
運動不足はわんちゃんの心と体に悪い影響を及ぼします。特に普段おとなしくしていることが多いわんちゃんは、本来なら走り回ったり獲物を追いかけたりして、発散させるはずのエネルギーが発散できずに、ストレスを溜めてしまいます。
ストレスが溜まると、吠え癖や噛み癖といった問題行動に繋がり、場合によっては、攻撃性が高まり大きな事故につながることもあります。また、肥満や筋肉の衰えも心配です。
その点、ボールを追いかけて走るボール遊びは、時間のかけ方ややり方次第では、わんちゃんにとってとても良い運動になります。
とは言え、体力には個体差、年齢差があり、必要な運動量は犬種によっても異なります。わんちゃんの様子を見ながら、適度な時間と運動量を決めてください。
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コミュニケーション能力が養える
わんちゃんにとって遊びは楽しいだけでなく、人間や仲間とのコミュニケーションの取り方を学ぶ場でもあります。飼い主さんとの遊びの中で、「どうやったら褒めてもらえるのか」「どんなことをしたら叱られるのか」を学んでいきます。
その点、ボール遊びは、ボールという道具を介して大切なコミュニケーション能力を養っていく遊びであると言えます。
人間の言葉がしゃべれなくても、わんちゃんは子どもと同じです。毅然とした態度で指示を与えると同時に、優しく話しかけてあげましょう。そして、撫でたり、抱きしめたり、スキンシップしたりすることも、とても大切です。
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飼い主にとっても適度な運動になる
目まぐるしく過ぎていく毎日。仕事や家事・育児などで、忙しくてなかなか運動ができないということはありませんか? そんな飼い主さんにこそ、このボール遊びをお勧めしたいのです。
わんちゃんと一緒にボールを追いかけるまではしなくても、ボールを投げたり、わんちゃんが拾えないような所へ転がっていったボールを拾いに走ったり、時には、暴走しそうなわんちゃんを止めにダッシュしたりと、飼い主さんにとっても適度な運動になります。
週に1回は無理でも、月に1回でも、わんちゃんと一緒に運動不足を解消するのも楽しいですよ。
えっ? 外に適当な公園も広場もない? 雨の日はどうするかって? 大丈夫! ボール遊びは屋内でもできるのです。
ボールを使った上手な遊び方
何の準備もなく、やみくもにボール遊びをするのではなく、しっかりと準備を整えてからルールに従って遊ぶことで、より楽しい時間が過ごせます。
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屋外でのボール遊び
<準備物>
- わんちゃんがくわえやすい大きさの丈夫なボール
- ご褒美のおやつ(1回に与える量を考えてあらかじめ小さくちぎったり、割ったりしておく)
<ルール>
- ボールを投げる前に「すわれ」「まて」をさせて落ち着かせる。
- 飼い主さんが、「とっておいで」などの掛け声とともにボールを投げる。
- わんちゃんがボールを追いかけて拾い、口にくわえて持ってくる。
- 飼い主さんが「ちょうだい」と言ったら、わんちゃんがボールを口から出して飼い主さんに渡す。
- ご褒美のおやつをあげて、スキンシップをしながら褒める。
このルールで大切なことは、飼い主さんの「ちょうだい」とう合図です。わんちゃんはこの掛け声を聞いてから、口からボールを離します。初めてのわんちゃんの場合は、家で「ちょうだい」と掛け声をかけながらボールとおやつを交換する練習をしておくと良いでしょう。
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屋内でも出来るボール遊び
<準備物>
- ひも付きボール
- 大型犬の場合には、野球の軟球に穴をあけてロープを通したもの
<ルール>
- わんちゃんがボールをくわえ、飼い主さんがひもを持って、引っ張りっこをする遊び。
- 遊びを始める前に「すわれ」「まて」をさせて落ち着かせる。
- 飼い主さんは、ボールが地面を転がるようにひもをくねくねと這わせる。
- わんちゃんがボールをくわえたら、飼い主さんがひもを引っ張って遊ぶ。
屋内でのボール遊びは、外遊びをあまり好まない室内犬に向いています。
どんな単純な遊びにも一定のルールが必要です。やりたい放題でルールのない遊びは時には危険が伴うこともあり、しつけの面から考えてもワンちゃんにとって良いことではありません。
初めのうちは難しいかもしれませんが何度も繰り返し練習してみてください。飼い主さんの指示通りにできるようになったら、わんちゃん自身も達成感や満足感を覚えることができます。
音の鳴るボールから自動ボールまで! 愛犬のお気に入りはどれ?

ボールが好きなわんちゃんたちが、たくさんいることがよく分かりましたね。ということで次は、犬用ボールのいくつかをご紹介したいと思います。あなたの愛犬にぴったりの犬用ボールを見つけてくださいね。
ここからは、ラテと一緒にご案内します。








もし、そんなものを飲み込んだら、大変だろう。だから、わんちゃんたちには、犬専用のボールが必要って訳なのさ。




わんちゃんを虜にする音の出るボール
★iDog コロコロにわとりボール鈴入り
小さなトサカとくちばしつきのとってもキュートな鶏ボール! 鈴入りでわんちゃんの好奇心をくすぐります。
★Toy Teeth Pattern Ball 音の鳴るおもしろボール
えっ! わんちゃんが出っ歯になっちゃった!? アメリカやヨーロッパで大人気。飼い主さんも思わず吹き出す楽しいボール!
耐久性を考えると天然ゴムボール
★ホーリーローラボール
穴あきのユニークな形状。ボールの中に小さなおもちゃやお菓子を入れてあげることもできて、楽しさも倍増です。
★ランコ(LANCO)犬用おもちゃサッカーボール
ボールを追いかける姿はサッカー選手 !? サイズもS~LLまで揃っています。
★プラッツ アトミックボール
不規則に弾むため、なかなか簡単には捕まえられないところが人気の秘密。表面がでこぼこしているので、わんちゃんがくわえやすくなっています。サイズもS~Lまで揃っています。
一石二鳥の歯みがきボール
★わんちゃんの歯ピッカピカ歯磨きボール
わんちゃんが遊んでいるうちに、歯茎と歯のマッサージや歯石予防ができちゃう! ストレス発散にも一役買います。
★ドギーマン コットンボール
素材は安心のコットンロープ。接着剤も不使用で丈夫で長持ちなのが、飼い主さんたちに高評価です。
愛犬とのコミュニケーションもばっちり! ひも付きボール
★Armitage(アーミテージ)ワンちゃん用Good Boy
良く跳ね、暗いところで光るひも付きボール。夜の引っ張りっこ遊びにもぴったりです。
★プラッツ K-9 ボール
引っ張りっこや「持っておいで」のトレーニングに最適。サイズはSとMがあり、カラーはグリーン、ブルー、ピンク、オレンジがあります。
これは便利! 犬用ボールも自動化の時代
★LEC(レック)ふしぎボール サッカー
電池を入れてスイッチをONにすると、勝手気ままに動き出すボール。動きが予測不能でわんちゃんが夢中になること請け負いです。
★マルカン ゴーゴーボール
リモコンで動く電動ボール。広い範囲に電波が届くので運動好きなわんちゃんに最適です。
どんなにおしゃれで斬新なデザインでも、すぐにボロボロになって、わんちゃんが誤飲してしまったら大変!(プラスチック素材のものは割れやすいのであまりお薦めできません。)
また、大きさも大切です。わんちゃんの口に合ったサイズを選ぶことが必要です。
ソフトタイプのボールは口の中にすっぽり入ってしまわないように、大きめのものを選びましょう。小さいボールで遊んでいて飲み込んでしまい、開腹手術をすることになったわんちゃんの事例もあります。
使った後は、毎回きれいに水洗いをしてよく乾かし、清潔に保つことも肝心です。
まとめ
一口におもちゃのボールと言っても、用途や機能に応じていろいろな物があることがわかりました。愛犬にぴったりのボールを使って楽しく遊ぶことで、飼い主さんもわんちゃんもハッピーになれるとしたら、素敵なことですよね。
最後にもう一度、大切なポイントを押さえておきましょう。
- 犬がボールに夢中になるのは、生まれ持った本能と飼い主への忠誠心から。
- 犬のボール選びで重視すべきなのは、耐久性と安全性。
- 犬の口の大きさに合ったサイズのボールを選ぶことが大切。
- 犬とのボール遊びにも、ルールが必要。
早速、次の休日あたり、わんちゃんとのボール遊びを思いっきり楽しんでみてはいかがですか。楽しくてやみつきになるかもしれませんよ。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。