突然ですが、「愛犬にマッサージしたことありますか?」と聞くと、「ない」と言う方がほとんどではないでしょうか。
ですが、こんな経験だったらありませんか? スキンシップのつもりで、全身を優しく撫で撫でしていたら…おや? わんちゃん、なんだか凄く気持ち良さそう。
ゴロンと仰向けになってお腹を出したと思ったら、目をつぶってウットリした表情に。
「あれー? 寝ちゃったかなー? 」 癒しに包まれた愛犬の表情は、たまらないですよね!
実は、犬にマッサージをすることは、癒しだけではなく、わんちゃんの心と体に良い効果が満載なんです!
今回はまだあまり馴染みがない犬のマッサージについてまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
犬をマッサージ! どんな効果があるの?





なんと言っても「リラックス効果」その効果は至る所に!
人間でも同じですが、マッサージされるとリラックスしますよね。 このリラックスするという状態は、肉体的にも精神的にもたくさんの効果を生み出します。
肉体的に得られる効果としては、リラックスすることで筋肉の緊張が緩みますので、血流が良くなり体温上昇に繫がること、またリンパの流れが良くなり老廃物の排出が促されますので、健康促進や疲労回復の効果が期待できます。
精神的な効果は、マッサージによって体を優しく撫でられることで、「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。 このホルモンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、幸せな気分になる、ストレスの緩和、不安や恐怖心の減少、他者への信頼感が増すなど、精神を健やかにする要素がたくさんあるのです。
このように、 リラックスすることで得られる効果は絶大です。
病気の早期発見の手がかりになる!
マッサージを日常に取り入れることで、飼い主がわんちゃんの異変に気付きやすく、病気の早期発見に繋がります。
飼い主がわんちゃんの体に触れる機会が増えることで、腫れや虫刺されなどの皮膚の異常、目やにの量や口臭の変化、肥満や減量など体重の変化など、見た目の変化に気づくことができます。
また、何らかの病気や怪我が原因で、体の特定の場所を触られるのを嫌がるようになるなど、わんちゃんのリアクションで気づくことができる場合もあります。
犬はとても我慢強い生き物なので、よほど苦しい状態にならない限り、 痛みや辛さを表面に出しませんから、症状が表れてから治療を開始しても、すでに手遅れになるケースもあります。 病気を早期に発見できるのは、嬉しいですよね。
「免疫力」と「自己治癒力」が高まる!
マッサージによってリンパの循環と老廃物の排泄が促されると、全身の機能バランスが整いますので、 わんちゃん本来の免疫力と自己治癒力を高めて健康な状態を維持することに繋がります。
また、わんちゃんが病気であれば、病院での治療と自宅でのマッサージを併用することで、免疫力を高め、治療効果を高めることが期待できます。
飼い主との絆が深まり「しつけ」にも有効!



実は、わんちゃんをしつけるにあたって一番重要なのは、愛犬との信頼関係を構築することです。犬は、主従関係が強いので、自分がリーダーだと認めている人にだけ体を触らせます。
ですから犬の体をまんべんなく触ることで、犬は飼い主がリーダーなんだという意識を強くしていきます。
わんちゃんが言うことを聞かない原因は、飼い主さんとの「主従関係」を理解していないことにありますので、主従関係を理解していないと、わんちゃんは「問題行動」を起こします。
しかしマッサージを日々行うことで、わんちゃんに主従関係を気づかせてあげることができ、しつけに繋がります。また、マッサージはわんちゃんにとって気持ちいいものですので、マッサージ自体をしつけのご褒美に使うこともできます。
マッサージが好きなわんちゃんであれば、お利口にできた時のご褒美に与える「おやつ」を「マッサージ」に置き換えてみるのもいいでしょう。
ご褒美が「おやつ」だと肥満が気になって控えてしまう場合も、「マッサージ」であれば、わんちゃんのしつけをしながら健康にもなり、まさに一石二鳥です。
また、普段から体に触られるのに慣れておくと、動物病院での診察などの際に抵抗しないようになるなど、社会性の向上にも繋がります。
しつけは、家に迎え入れた時、できれば子犬のうちから行った方が効果があります。 ぜひマッサージも早いうちから取り入れてみてください。
犬だけじゃない! 飼い主にもアニマルセラピー効果
わんちゃんを触ってると、自分まで幸せな気持ちになりますよね。
実はこの時、わんちゃんだけではなくマッサージをする側の人間にも、幸せホルモン「オキシトシン」が分泌されているんです。ですから、わんちゃんと触れ合うと、幸福感・安心感が増し、リラックスできるんですね。
わんちゃんも飼い主も双方に幸せになれるのであれば、犬のマッサージを日常に取り入れないわけにはいきませんね!
マッサージってどうやるの? 気をつけることは?
犬のマッサージの基本動作は「さする」「撫でる」 「揉む」です。
わんちゃんとのスキンシップの中で、意外と普段から無意識にやっていませんか?
難しいルールや決まった法則はありませんので、気負う必要はありませんよ。
ただ、いくつかのポイントを押さえることで、より効果的なマッサージができるようになりますので、参考にしてみてください。
マッサージをするタイミング
まず、マッサージをするタイミングですが、飼い主も犬も穏やかなときに行うようにしましょう。
飼い主が心配事や時間に追われてソワソワしたり、イライラしてるときは、精神状態を察して犬もその気持ちに同調し、不安になったり、興奮したりします。お互いが余裕のある状態の時に行うようにしましょう。
また、マッサージにかける時間は、10〜15分毎日行うのが理想ですが、毎日やらなくてはと気負い過ぎても張り詰めてしまいます。忙しくて時間のない日は、1〜2分間手を当てるだけの日があっても構いません。日常生活に負担がかからない範囲で行えるといいですね。
わんちゃんをビックリさせない心配りを
「よし、早速マッサージを始めよう!」と、飼い主のタイミングで、いきなり施術に入るとわんちゃんがビックリしてしまいます。
「マッサージするね。」と声かけしてから始めましょう。また、手の温かさは大丈夫でしょうか? 手のひらが冷たい場合は、温めてから始めましょう。
最初は、わんちゃんがマッサージモードに自然と入れるよう、体の一部分ではなく、体全体を両手のひらで軽くタッチすることから始めましょう。その際に体全体の状態を確認していくといいでしょう。
マッサージの適度な力は想像以上に弱い
マッサージの基本動作である「さする」「撫でる」「揉む」のそれぞれの力の目安は「さする」が4g前後、「撫でる」が1000g前後、「揉む」1000~2000gの力がよいとされています。
想像がつかない場合は、キッチン用の秤を、針を見ながら押してみるとわかりやすいかもしれません。
マッサージの姿勢は?
「必ずこの姿勢」というものはありませんので、飼い主とわんちゃんがリラックスしやすい姿勢で行いましょう。
マッサージがしやすい姿勢としては、小型犬の場合は、犬にフセをさせた状態で飼い主が犬のおしり側に座り、犬と飼い主が同方向を見ている体勢が自然です。
中型犬・大型犬の場合は、おしり側ではなく真横に並んで行うとやりやすいでしょう。
どこをマッサージすればいい? 部位ごとのポイントを押さえよう!
ここでは、体の部位ごとのマッサージのポイントをご紹介します。
どの部位も、一般的にわんちゃんが気持ちいいと感じる部分ですが、わんちゃんによっては嫌がるところもあるかもしれません。嫌がる時は、無理に触らないようにしてください。
愛犬の様子を観察しながらマッサージすることが大事です。
また、今まで嫌がらなかった所を急に嫌がるようになった時は、痛みや違和感を感じている可能性があるので、動物病院で受診することをお勧めします。
背筋・背骨
- 背骨に沿って、首の後ろから腰にかけてを手の平で優しく数回撫でる。
- 肩から前脚の先までと、腰から後ろ脚の先に向かって手の平で数回撫でる。
- 手の平に丸みをもたせ、指を開いて、指先で軽く毛並みに沿って背骨ラインをさする。
- 背骨の上の皮膚を両手でつかみ、「1・2・3」と上に持ち上げてから、また「1・2・3」と下に下ろす。これを数回繰り返す。

首
- 軽く頭を持ち上げた状態で、首を両手で挟むように持ち、円を描くように優しくさする。嫌がらないようなら徐々に力を加えていく。
- 首の後ろを軽くつかんで揉む。または、「1・2・3」と数えながら少し引っ張り上げて、同じようにゆっくりと元に戻すという動きを繰り返す。

顔〜目・耳
- 顔の下中央から外側に向けて、指を滑らせるように撫でる。
- 顔を包み込むように触り、そのまま優しく円を描くようにクルクルと指の腹で撫でる。
- 鼻先から額まで、指の腹を使って往復させながら優しく撫でる。
- 耳は、親指と他の指の間で耳の付け根を軽くつまみ、そのままスッと耳の先まで優しくスライドする。
- 目は、目の周りの硬い骨の部分に沿って円を描くように優しく撫でる。


脚
- 脚を曲げたり伸ばしたりして屈伸させる、足先をくるくると回す。
- 足の指を1本ずつ軽く引っ張ったり、回す。
- 脚の付け根から足先の筋肉に沿って指先で小さく円を描くようにクルクルと撫でたり、手の平全体で撫でる。または、揉みほぐす。

腸
- 胸からお腹を優しく触れるように撫でる。
- 触られることにリラックスしているようであれば、「の」の字を書くように下腹部を撫でる。
天枢は、おへそを中心に左右1〜1.5cmのところにあります。ツボを刺激する際には、ゆっくり「1・2・3」と数えながら押し、同じく「1・2・3」とゆっくり戻しましょう。
あまり力を入れすぎると逆効果で、小型犬の場合、指の代わりに綿棒のようなもので代用することも可能です。
犬のマッサージにおすすめの本は?
犬のマッサージについて、もっと知識を深めたい、じっくり読み込みたいという方は、犬のマッサージの本を読んでみるのもおすすめです。
マッサージは奥が深いので、ここでは紹介しきれなかった事も、更に学べると思います。
犬のマッサージの本は、まだあまり多くはありませんが、その中で人気のあるものをご紹介します。
犬のマッサージの資格ってあるの?
犬のマッサージ(ドッグマッサージ)にも資格は存在します。
ですが、現在、国家資格のような統一した資格はないようで、団体やスクールごとの認定資格になるようです。
トリマーや動物看護師などの仕事に就いて犬をマッサージする場合は、資格取得を目指すのも良いかと思いますが、通信講座の受講をするなど専門的な学習が必要になりますので、自宅で飼い主が愛犬にマッサージをする分には、少し割高かもしれません。
まとめ
では、最後に犬のマッサージについて、おさらいしていきます。
- 犬のマッサージは、健康促進や疲労回復などの肉体的効果に加え、飼い主との主従関係や信頼関係が構築されしつけにも繋がる。また体を優しく撫でる(撫でられる)ことで、飼い主と犬の双方に幸せホルモンが分泌され、精神的な安定にも繋がる。
- マッサージは毎日10〜15分行うのが理想だが、あまり無理をせず、飼い主も犬も日常に負担がかからない範囲で行うようにする。また、マッサージをする際は、手の温度やマッサージの力の強さに気をつけるようにし、わんちゃんの様子を確認しながら行う。
- マッサージの部位は、背筋、首、顔、脚、腸など、わんちゃんに疲労が溜まりやすい箇所を中心に、「さする」「撫でる」「揉む」の動作で行う。
- 犬のマッサージについて、もっと知識を深めたい、じっくり読み込みたいという方は、犬のマッサージの本を読んでみるのもおすすめ。
- 犬のマッサージには、国家資格のような統一した資格はなく、団体やスクールごとの認定資格になる。
ここまででお伝えしたとおり、マッサージにはただ単に癒されるということだけではなく、わんちゃんの心と体が健やかになる、飼い主と愛犬の絆が深まるなど、たくさんの効果が詰まっています。
マッサージの方法は一例をご紹介しましたが、難しいルールや決まった法則はありませんので、飼い主と愛犬とのスキンシップの中で、愛犬が心地よいと思うマッサージを自由に考案していってもいいですね。
飼い主もわんちゃんも健やかになれる犬のマッサージ。
ぜひ皆さんも日々の愛犬ライフに取り入れてみてくださいね。