みなさんは日常生活の中で身体のむくみを感じたことはありますよね?よく「夕方になると脚がパンパンで靴が入りづらい」、「靴下を脱いだら跡が残っている」、「立ち仕事やデスクワークだから気が付くと下半身がむくんでる」などと誰しもこういった経験はあると思います。
また「アルコールを飲んだ次の日とか顔や目がむくんでいる」といった事例も聞きますよね。これらの原因は血液の流れが悪くなり、水分を溜め込みやすくなりむくみと繋がっていきます。
私たちの日常生活でのむくみは身近ではありますが、愛犬たちはどうでしょう?実はわんちゃんたちのむくみは慢性的な病気が潜んでいるかもしれないのです。
では一体どのような病気が潜んでいるのかむくみの原因やむくみを事前に予防するマッサージ方法などをご紹介させて頂きますので、是非参考にしてみて下さいね。
むくみはどのようにして現れるのか?
なぜむくみが出来てしまうのか?原因は何?
わんちゃんの身体がむくんでしまうのには原因があります。そしてその他の慢性的な病気もあげられます。ではどのような病気があげられるかそれぞれご紹介していきます。
むくみの原因は何?
動物の体を構成している細胞は多くの水分(体液)で占められています。何らかの異常が起きると皮下組織に体液が過剰に溜まりむくみを起こします。むくみには全身性のむくみ・局所性のむくみがあります。
全身性のむくみ
心臓の病気 心臓から拍出される血液量が減少すると、腎臓での尿の産生を抑える抗利尿ホルモンの1つである「アルドステロン」が働き、体内に水分を取り込む。アルドステロンが過剰に取り込むことによってむくみを起こします。心臓の病気では犬糸状虫症(フィラリア症)・先天性心疾患・心筋症が見られます。
腎臓の病気 腎臓の機能が低下することで、水分やナトリウムが体内に過剰に貯留するためにむくみが生じます。また体に必要なタンパク質が尿中に排泄されてしまうと、タンパク質が不足、むくみが発生します。腎臓の病気には腎盂腎炎・糸球体腎炎などがあげられます。
消火器に病気 体に必要な栄養・タンパク質を吸収ができなくなり、むくみが発生してしまいます。これらによりリンパ管拡張症・慢性の下痢・低タンパク質血症を起こしむくみを併発します。
肝臓の病気 肝臓では血液中のタンパク質の一種であるアルブミンを合成している。アルブミンは血液の浸透圧を調節する役割を果たしており、不足すると低アルブミン血症を起こして、末梢の組織に水分が貯留し、むくみを起こします。肝臓の病気では肝炎・肝臓腫瘍があげられます。
アレルギーに病気 食物やワクチン注射などを原因とする急性アレルギーでは、主に目・唇の周囲にむくみが見られる。
ネフローゼ症候群 何らかの原因により腎臓に問題が発生し、尿中にタンパク質が漏れ出てしまう状態のことをいいます。尿中にタンパク質が大量に漏れ出すことによって、低アルブミン血症(低タンパク質)が起こり、高脂血症(高コレステロール血症)・高血圧症・腹水・むくみなどの症状が見られる。
尚、ネフローゼ症候群の初期症状は初期の段階ではタンパク尿が見られるが、ほとんど無自覚なことが多いです。先ほどお話した上記の低アルブミン血症の症状は詳しい検査等をしないと発見することが出来ません。
代謝異常による腎障害 | 免疫系疾患 | 腫瘍疾患 |
糖尿病 | アレルギー | 白血病 |
アミロイドーシス | 紅斑性狼瘡 | 形質細胞腫 |
局所性のむくみ
体に一部で起こる局所性のむくみは静脈やリンパの流れが局所的に悪いためにまた、炎症のために起こることがある。フレグモーネ・熱傷・感染症・肥大性骨関節症など見られる。
このように人間が罹患するような病気も潜んでいるかもしれないとなるととても怖い病気ですよね。上記のようにわんちゃんのむくみは身体からのSOSなので、異変を感じたらすぐに病院へ連れていきましょう。
後ろ足のむくみ
下半身のむくみは下半身のリンパ管や静脈系での問題(狭窄・血栓など)、全身性であれば心不全・腎不全の疑いも考えられます。
足の腫れ・むくみ
これらの原因は過度の運動、肥満、老化、関節リウマチがあげられます。中でもわんちゃんの足が腫れる要因の一つは関節リウマチです。リウマチは主に四肢の関節に多く見られます。座り方がいつもと違っていたり、立ち上がるのに時間がかかったり、足が腫れてたりしたら、この病気の可能性が高いと言えます。
関節リウマチは進行性の病気(一度発症すると完治が極めて難しい病気)のため、放っておくとどんどん悪化します。わんちゃんの中でミニチュアダックス・シーズ・プードルといった犬種が関節リウマチの発症のリスクが高く、若年齢~中年齢になりやすいと言われています。
足のむくみ・腹水
足のむくみの他、腹水が溜まってしまうこともあります。腹水とは文字通りお腹に水が溜まってしまうことを言います。腹水が溜まってしまう病気の一例をあげると犬糸状虫症(フィラリア症)です。動物病院に行くとフィラリア予防のご案内など拝見したことはあるのではないでしょうか?
フィラリアは蚊に寄生する寄生虫の一種で春先になると蚊が出てくることで、フィラリアの予防接種を勧められる先生もいるかと思われます。フィラリアは愛犬が蚊に刺されることで感染してしまい、血液の流れに乗ってやがて心臓に住み着きます。
肉眼では見えないので顕微鏡で見えるようで見えないようなフィラリアは太さ2~3mm、長さ20㎝ほどに成長していきます。そうなると心臓に住み着いたフィラリアは成長していき、ギュウギュウになっていき心臓が血液を送ることが困難になっていきます。
心臓の動きが弱くなることで身体の隅に常に血液が溜まって、むくんだようになってしまいます。手足がむくむようにお腹に水が溜まってしまいわんちゃんに弊害が現れます。
観察するポイント
冷感、痛みのない腫れ・指で押しても元に戻らないなどの特徴があります。打撲や打ち身は通常触ると痛がったり、赤くなるのでよく観察するようにしてください。むくみのある皮膚は指で押しても元に戻らない圧痕(指で押したままのくぼみ)が見られます。また腹水症・胸水症の症状を伴う可能性があります。
シニア犬は身体がむくみやすくなるって本当?
私たち人間は当たり前のように年を取っていき高齢となっていきますが、わんちゃんたちは私たちの数倍のスピードで年を取っていきシニア犬となっていきます。シニア犬は年齢と共に寝ている時間が長くなり、徐々に運動が出来ない状態になっていくために関節や筋肉が固くなりがちになります。
関節の中に体液(普通なら潤滑油の役目をしてくれるもの)が溜まる・滞る状態になり、更には血流も悪くなるため、四肢の先が冷たくなり、冷え性のような症状もでてくることもあります。人間も年を取ると足や腰が痛くて歩けない・自力で歩行が難しくなってしまい、車いす・寝たきりになるといったような事例はよく聞きますよね。
わんちゃんたちも同じなんです。大事な家族だからこそわんちゃんには長生きしてもらいたいと思う飼い主さんは計り知れないと思います。そこでシニア向けのわんちゃんにご自宅でも簡単なマッサージをご紹介したいと思います。むくみの予防にも効果が期待できるかもしれません。是非参考になってみて下さいね。
シニアドックのためのマッサージ
病気にならないようにするための予防として考えてね。マッサージをすることで血行不良を解消し、全身に栄養が行き渡ることを手助けしてくれるんだよ。血行が良くなることで不必要な老廃物を排出するため、むくみなど軽減してくれるのも期待できるわ!
わんちゃんを撫でたり、触ったりするとお互いに愛情ホルモン、絆ホルモンと呼ばれるオキシトシンという脳内物質がわんちゃんと人に両方に出ることが証明されているんだって。オキシトシンによって免疫細胞が活性化することも分かってて、その結果、免疫力の向上、自然治癒力のアップが期待出来るみたいなの!
わんちゃんの全身を撫でることにより、身体の小さな変化、異常を発見出来るメリットもあります。例えば小さなしこり・イボこれらわずかな変化がガンなどの大きな病気に繋がることも考えられるため、病気の早期発見が出来る意味は実に大きいですよね。
マッサージはわんちゃんと飼い主さんの絆を深める!
わんちゃんのマッサージは疲れを癒すと同時に飼い主さんの絆を深めたり、上記でもお話した通り病気の早期発見に繋がったりというメリットがあります。また仲間意識を強めたり、身体の異常をいち早く見つける、血流を促進し、快楽物質を分泌させる効果も期待が出来ます。わんちゃんに日々の感謝を込めてリンパマッサージをしてあげるのはどうでしょう?
大好きな飼い主さんに撫でられるようにマッサージをすると気持ちが良すぎて寝落ちしてしまうかもしれませんね。
愛犬のためのリンパマッサージ
こちらはわんちゃん専用のアロマシリーズを使ったリンパマッサージをご紹介しています。リンパの流れが悪くなるとどうなってしまうのか、どこのツボを押すことで効果的なリンパマッサージ方法をステップ別で紹介していますので、是非ご参考にして、マッサージ実践してみて下さいね。
まとめ
わんちゃんのむくみからは恐ろしい病気が潜んでいる可能性があること・それを未然に防ぐマッサージ方法をご紹介しました。
- むくみはわんちゃんの身体からのSOS発信
- むくみのタイプを知る(全身性によるむくみか局所性のむくみか)
- シニア犬は運動量が減るため水分が溜まりがちになりむくみやすくなる
- シニア犬の身体に負担がかからないためのマッサージ方法・愛犬のためのリンパマッサージ方法
- マッサージはわんちゃんと飼い主の絆を深める
わんちゃんのむくみは慢性的な病気が隠れているかもしれないということをご紹介しました。私たち人間のむくみは日常的なものと考えがちですが、わんちゃんにとってのむくみは命に関わってくる病気が潜んでいる可能性があります。それを未然に防ぐのは飼い主さんです。予防のためにマッサージをしてみて、万が一わんちゃんが嫌がったらマッサージをするのは止めて下さいね。
マッサージできなくても日々身体を撫でてあげることで大きな病気を防いだり、早期発見にも繋がります。そうしていくことでこれからもわんちゃんと飼い主さんの絆はより深く繋がっていくかもしれませんね。最後まで読んで下さりありがとうございます。