愛犬の吠える声がうるさくて、思わず「うるさい!」とか「静かに!」など声を荒げてしまうことがありますよね。
そのうち「ご近所から静かにしてくれとクレームが来るかも」なんて、毎日ビクビク暮らすのは、飼い主さんにも相当なストレスが溜まってしまいます。
愛犬が常に吠えるようになってしまったり、何かのタイミングで吠え始めるようになってしまったりと、吠える状況は様々ですが、いずれもきちんとしつけをすれば、必ず改善されますよ。
「しつけようにも吠えて聞く耳を持ってくれない」というケースが多々ありますが、それは今までのしつけの方法が、わんちゃんに合っていない方法だった可能性があります。
愛犬と飼い主さんが、お互い快適に暮らしていけるようにしたいですよね。
今回はわんちゃんが吠えてお困りの飼い主さんに是非参考にして欲しい、吠える時のしつけや対策を調べてみました。
犬が吠える理由と対策とは?
わんちゃんは元々、吠える習性を持っており、人間社会の吠えてはいけないルールは知りません。飼い主さんが人間社会のルールを教えてあげること、つまり「しつけ」をすることで、吠える行動をコントロールすることができますよ。
わんちゃんが吠える理由を知ることで、対策方法は変わってきます。
要求して吠える
わんちゃんは話すことができないので、吠えて飼い主さんにアピールします。「何かしてほしい」という要求で吠えている時に、要求通りに叶えてしまうと「吠えればいいんだ」と学習します。
同時に、飼い主さんとの上下関係が崩れ、わんちゃん自身がリーダーだと勘違いして、余計に吠えが悪化してしまいます。
何か要求されても応えない、毅然とした態度で飼い主さんがリーダーだと教えることが大切です。
ストレスで吠える
わんちゃんがストレスを抱えて吠えているのは、生活環境によるものが原因の場合が多くあります。ストレスの原因となっているものがないか確認してみましょう。
- 長時間構っていないようだったら、一緒に遊んであげる
- 運動不足になっているようだったら、散歩に連れて行ってあげる
- 暑い、寒いなど体温調節が上手くいっていないようだったら、室温を調整してあげる
わんちゃんの様子を見て、落ち着いて生活できるように、生活環境を整えてあげてくださいね。
警戒して吠える
「自分の縄張りに侵入された」と警戒して、吠えていることがあります。家の中を自由に動きまわれるけれど、特定のスペースがないという環境の子に多い場合があります。
家全体を縄張りだと思っていると、家に近寄るもの全てに吠えてしまうようになりますよ。
一日中警備員のように、気を張り詰めて生活することになってしまうので、わんちゃんにも相当なストレスが溜まってしまいますね。
わんちゃん専用のスペースを設けて「守るべきスペースはここ」だと教えてあげれば、吠える回数が次第に減っていきますよ。
怪我や病気を訴えて吠える
わんちゃんは本来、痛みに強いので弱っている姿を見せることが少ないです。怪我や病気の痛みで吠えている場合は、緊急性が高いと考えられます。
いつもと違う吠え方をしているようだったら、すぐに獣医師さんに診てもらってください。
犬が吠えるのには無視が効果的?
しつけの方法として「無視をする」という方法を聞いたことがある方も多いと思います。これは、タイミングと時間を誤ると、余計に吠えが悪化してしまうので注意が必要です。
ここでは、無視を使うコツをご紹介します。
要求吠えには効果あり
ただ単に「吠えたら無視をすればいい」という訳ではありません。吠えるタイミングによって、無視をしても全くしつけの効果が出ないことがあるので、わんちゃんがいつ吠えるのか観察してみてください。
例えば、「インターホンが鳴って吠える」「何か要求があって吠える」パターンがあった場合、「要求があって吠える」パターンには、無視をすることでしつけの効果がありますよ。
過去に「吠えたらおやつをもらえた」「吠えたらトイレをキレイにしてもらえた」など飼い主さんに吠えることによって、自分の要求が満たされた経験から、吠え続けていると考えられます。
この場合は吠えても「自分の要求が満たされない」と教える必要があります。飼い主さんが無視をすることで、「吠えてもなにも起こらない」と学習すれば、吠える回数は減っていきますよ。
無視をする時間はどのくらい?
では、どのくらいの時間無視をしていればいいのでしょうか。答えは、吠え出したら無視を始め、吠えるのをやめたら無視をやめます。
吠えている途中で無視をやめてしまったり、逆に吠えるのをやめても無視し続けると、なぜ無視されたのか、わんちゃんが理解できずに混乱してしまいます。
大好きな飼い主さんに長時間も無視されてしまうと、ストレスになってしまうので、メリハリをつけてあげることが大切ですよ。
どこまでが無視になるのか
人にとって無視をするということは「反応をしないこと」なので、それなりの意識を必要とします。わんちゃんは、飼い主さんのちょっとした反応にも敏感です。話しかけない、構わないことは当たり前ですが、視線を向けないことも意識しましょう。
飼い主さんは反応していないつもりでも、かわいそうだと思って、ついついわんちゃんを見てしまうことがありますよね。しかし、それはわんちゃんにとって反応したことになってしまいますよ。
無視をするときは、しつけのためだと思って、意識して無視をすることが大切ですね。
ごはんを要求してきたとき
群れで行動していた名残で、わんちゃんは本能的に、先にエサを食べる者がリーダーだと考えます。その本能を利用しましょう。
「ごはんちょうだい」と吠えてアピールしている時は、徹底無視をして、飼い主さんが先にごはんを食べ終えてください。
しつけているときは、時間を決めてごはんをあげる必要はありません。家族の誰かが遅い時間に帰ってきても、食べ終わるまでわんちゃんにごはんをあげてはいけません。
飼い主さんが食べ終えてから、わんちゃんにごはんをあげる習慣をつけることによって、リーダーは飼い主さんだと認識させることができますよ。
散歩を要求してきたとき
散歩に行きたいと要求吠えをしているときも、吠えるのをやめるまで無視をします。落ち着いたところで、「おすわり」や「待て」と指示を出して、従ったらリードをつけてあげましょう。
時間を決めて散歩に連れて行くと、体内時計でそろそろ時間だとわかると、吠え始める子もいます。時間を決めずに、ランダムに連れて行くのも良い方法です。
繰り返すことで「吠えても散歩に連れて行ってくれない」散歩に行くか行かないかの主導権は、飼い主さんだと覚えていきますよ。
消去バーストに注意する
犬のトレーニング用語に「消去バースト」という用語があります。これは、今まで行っていた行動が消去される前に、一時的に行動が増えて、悪化したように見える現象のことを言います。
例えば、わんちゃんが3回吠えておやつをもらえると学習していたとします。
飼い主さんに無視をされることで、3回吠えてももらえません。すると、5回吠えたらもらえるかも、10回吠えたらもらえるかも、と一時的に回数が増える現象が起きることがあります。
突然無視をされると、わんちゃんはルールが変わったことを、吠える回数を増やして確認するので、悪化したように見えますよね。これを消去バーストと言います。
この状態でずっと吠えているからと、相手をしてしまうと「たくさん吠えればいいんだ」と新たに学習してしまうことがあるので、注意が必要です。
犬が吠えるのを防止するグッズを使用する際の注意点
わんちゃんが吠えるのを防止する手助けになる、グッズやアプリを使用する際の注意点をご紹介します。
犬種やわんちゃん自身の性格によるので、すべてのわんちゃんに効果が出るものではないことを念頭に置いてください。
飼い主さんの代わりにしつけをしてくれるわけではなく、しつけをするのはあくまでも飼い主さんであり、その補助をしてくれる道具だと考えましょう。
無駄吠え防止首輪
警告音・振動・電気ショックを発生させ、わんちゃんの嫌悪感を刺激して、吠えるのをやめさせるしつけをします。これは、今すぐに吠えるのをやめさせたい、緊急性が高い時に使用するものと考えてください。
即効性があることが多いですが、何回か使うと慣れてしまって、吠えが再発してしまうこともあり得ます。
過度なストレスを与える電気ショックはおすすめできません。使用時に皮膚に怪我をしてしまう恐れもあります。自分に置き換えて考えてみてください、人間も突然電気ショックを与えられたら、耐えられませんよね。
これらの首輪を継続的に使用することにより、精神不安定・神経過敏・脱毛などになる可能性があり、わんちゃんの精神衛生上も、良いものとは言えません。
超音波が出る防止グッズ
わんちゃんが吠えると、声を感知して超音波を出すグッズがあります。吠えると嫌な音が出ることで、しつけの効果がありますよ。臭いがなく、人間には聞こえない超音波なので、日常生活に支障もありません。
こちらも即効性があるようですが、慣れてしまう子もいたり、逆に超音波に反応して吠えてしまうわんちゃんもいます。
一日中使用するのではなく、必要なときだけ使用してみるのも良い方法でしょう。ダメ元で購入を検討してみるのもおすすめです。
スマートフォンのアプリを使う
わんちゃんが嫌がる超音波を出す、スマートフォンのアプリがあります。無料で入手できるものもあり、手軽に試せるのでおすすめです。
スマートフォンを持ち歩くだけなので、散歩の途中でも、お部屋にいるときでも、すぐに使うことができますね。使用時は電池残量にもご注意ください。
犬が吠えるのは音恐怖症のため?
わんちゃんが何かの音に反応して吠える場合は、ストレスによりストレスにより症状が悪化すると「音恐怖症」「音響シャイ」になってしまう可能性があります。わんちゃんは人間より嗅覚が優れていることは、広く知られていますよね。
そして、嗅覚の次に聴覚が優れているため、人間が聞き取れない音にも敏感に反応してしまうのです。トレーニングを重ねれば、改善の見込みがありますよ。
嫌いな音を把握する
まず、わんちゃんが何の音を聞いたら、吠え始めるのかを知る必要があります。大きな音、普段聞き慣れない音、予想外の音を本能的に嫌がる傾向があります。
掃除機の音、車のエンジン音、インターホンの音、花火、雷などですね。日常ではこのような生活音が当たり前に聞こえてきますが、わんちゃんにとっては突然聞こえてくる音なので、恐怖を感じてしまうのです。
私たち人間も、雷が突然大きな音で鳴ったらビックリしてしまいますよね。聴覚の優れているわんちゃんは、なおのことビックリして、思わず吠えてしまうことがあります。
できる限り嫌いな音を遠ざける
掃除機の音が嫌いなら、わんちゃんは別の部屋に移動してもらって、ドアを閉めるなどをして直接音が聞こえないようにします。電話の着信音が嫌いなら、マナーモードにしたり、音量を最小限にするなどしましょう。
花火や雷は、外から聞こえてくるものなので遠ざけることは難しいですが、部屋の窓を閉め切って、テレビや音楽を流して外の音をかき消すようにしてみてくださいね。
安心できる場所を作っておく
日頃から、家の中に安心できる避難場所を作っておけば、何か恐怖や不安に陥ったときに利用することができます。
避難場所としておすすめなのは「クレート」です。サークルやケージに比べると、スペースは狭いですが、狭いからこそ、自分の居場所として認識しやすいでしょう。
車や公共の乗り物で移動するときに使用するものなので、普段から安心できる場所としておけば、わんちゃんのストレスにもならないので便利ですよ。
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引用:Amazon
ぜひ購入を検討してみてくださいね。
音に慣れるようにトレーニングする
特定の音であれば、その音に慣れさせるトレーニングをしましょう。本物の音ではなく、録音した音でOKです。スマートフォンで効果音が出るアプリもあるので、利用してみましょう。
まずは、小さいボリュームから聞かせて、2~3ヶ月かけて徐々にボリュームを上げていきます。
このときに、飼い主さんが大げさに撫でてあげたりすることはやめましょう。わんちゃんが助けを求めてきたら、落ち着いた優しい声で対応してあげてくださいね。
飼い主さん自身の反応がわんちゃんに影響してしまうことがあり、驚いているわんちゃんを、慌てて抱き上げたり、撫でたりすると、余計に不安をあおってしまうことになってしまいますよ。
犬が誰もいないのに吠えるのはなぜ?
わんちゃんが誰もいない方向に向かって吠えたり、壁や天井に吠えたりすることがないでしょうか。何も見えない飼い主さんから見れば、不思議に思ってしまいますよね。
よく言われているのは「霊的なものが見えているのでは」という説ですが、実は私たち人間には感じ取ることができない電磁波や、聞き取ることができない音に反応して吠えているだけなのです。
飼い主さんの目には確認できないことでも、できる限りその対象にストレスを抱えないように対策をしてあげることが大切ですね。
人間には聞こえない音に反応している
わんちゃんは聞き取れる範囲が広いため、例えば、屋根裏のねずみが走る音や、野良猫の足音や鳴き声、隣近所の家の物音、車のエンジン音などを聞き取ることができます。
このような場合、完全に防音することは難しいですが、防音対策をすることで吠える回数が減少する効果が期待できますよ。
防音カーテン
完全に音漏れを防ぐことはできませんが、軽減する効果が期待できますよ。カラーが豊富なものもあるので、インテリアに合わせて、選ぶことができますね。
防音壁
大がかりな工事を想像するかも知れませんが、最近はワンタッチで壁に貼り付けられるタイプがありますよ。簡単に貼って剥がせるタイプもあるので、賃貸住宅にお住まいでも安心して使用できます。
防音ケージ
防音のケージや犬小屋というものがあります。十数万円~とかなりお値段が張るので、なかなか手軽に購入できる金額ではありませんが、高い防音効果が期待できます。
出かける時に犬が吠える時の対処法
飼い主さんが出かけるときに、わんちゃんが吠えることがよくありますよね。「一緒に出かけたいという要求」や「一人になるのが不安」などの理由で吠えてしまいます。
ここでは、安心して飼い主さんが出かけるには、どうすればいいのかご紹介します。
出かける時に話しかけない
出かける時に「行ってくるよ~」や「留守番お願いね~」などと話しかけてしまいますよね。実は、話しかけてしまうほど、わんちゃんの不安は大きくなってしまいます。
出かける時は、むやみに話しかけずに、サッと出かけるようにしましょう。
帰宅後も30分くらいは、目を合わせずに無視をして、わんちゃんが落ち着いたところで優しく声をかけてあげるようにしましょう。大げさに褒める必要はありませんよ。
飼い主さんが出かけることは、なんでもないことだと覚えてもらいましょう。
留守番の練習をする
まずは、練習で外へ出て行くフリをして、吠えなかったら戻っておやつをあげたり、褒めてあげるようにしてみてください。最初は1分からでもOKです。
徐々に離れる時間を長くしていけば「吠えなくても、待っていれば飼い主さんは必ず帰ってくる」ことを覚えていきますよ。
犬の反抗期で吠えることがある?
わんちゃんにも、人間の反抗期と同じような態度を取る行動が見られる時期があります。反抗期になると、本能的に自分がリーダーになりたいと思うため、飼い主さんの飼い主さんの言うことを意図的に聞かなくなります。
今までできていたことが急にできなくなったり、飼い主さんの指示を全く聞かないなどの行動が増えてきたら、反抗期の可能性がありますよ。
反抗期の時期はいつから?
犬種や個体差はありますが、平均的に小型犬なら4~6ヶ月頃から、大型犬なら9~12ヶ月頃から反抗期が始まると言われています。
飼い主さんの反応にもよりますが、反抗期の期間は、短ければ数ヶ月~半年くらい、長くて10ヶ月~1年程度です。
一見、反抗期がなさそうに見えても、目立つ行動が見られないだけのケースもあるので、よく観察してあげてくださいね。
反抗期になったらどうすればいい?
まずは、動揺したり、うろたえないことです。常に落ち着いた態度で、今まで通り対応していくことが大切です。
反抗期に無駄吠えが増えても、公共の場などで今すぐにやめさせるべきな場合以外は、必要以上に叱らない方が良いでしょう。叱られたのではなく、喜んでいると勘違いして、余計にエスカレートする可能性があります。
この時期は、無視をすることが一番効果的ですよ。適切に対応できなかった場合、わんちゃん自身がリーダーになったと思ってしまうので、注意が必要です。
トレーナーにお願いする
反抗期になると、ワガママ放題で手に負えなくなって、深刻な悩みごとになってしまうことがありますよね。
いつ終わるのかわからない、何をしてもお手上げ状態、先の見えない不安を抱えてしまう前に、一度トレーナーさんに相談してみましょう。
費用は掛かってしまいますが、飼い主さんとわんちゃんの楽しい生活を取り戻すためにも、検討してみることをおすすめします。
効果的な遊び方や、普段の対応の仕方、トレーニング方法を教えてもらえるだけでも、心が楽になるはずですよ。
まとめ
ここまで、わんちゃんが吠える時のしつけ方法をご紹介してきましたが、まとめていきたいと思います。
- わんちゃんが吠えるのには理由がある
- 要求吠えには、無視をする
- 吠え防止グッズは、すべてのわんちゃんに効果が出る訳ではない
- わんちゃんが嫌いな音は、徐々に慣れさせる
- 誰もいないのに吠えるのは、人間の聞こえないものに反応している
- 出かける時は話しかけない、留守番の練習をする
- わんちゃんには、反抗期がある
わんちゃんが吠えるのには、飼い主さんに何かを伝えようとしています。むやみに叱らず、吠える理由を考えてあげてくださいね。
普段から、わんちゃんときちんとコミュニケーションを取り、適切な主従関係を築くことで、吠える必要がなくなる可能性があります。遊ぶときはいっぱい遊ぶ、褒める時はしっかり褒める、叱るときは的確に叱る、メリハリを付けて接してあげましょう。