犬がトイレを我慢する!飼い主さんが気づかない犬の事情。

一般的に、は人間よりも長い時間トイレ我慢できる動物と言われています。それはまだ犬が野生の中で生活していた頃の名残ともいえる習性です。

排泄をする事でにおいがしますが、このにおいが自分の居場所を知らせてしまう事になりかねないんです。敵に対して安全と判断できるまで、トイレを我慢してにおいを出さないようにすることも身を隠す手段のひとつなんですね。

我慢できるからといって家庭で一緒に暮らしている犬に、野生の状況下と同様に我慢させる必要は全くありませんよね。犬に我慢させることなく自然に排泄できる環境を作ってあげることが重要になってきます。

言い換えればトイレを我慢させることは犬の体に負担を負わせることですから、犬にとって好ましい状況とはいえません。排泄は人間であれ、犬であれ生き物にとって食べることと同じで大切な行為なんです。

あなたは愛犬にトイレを我慢させてはいませんか?

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犬がトイレを我慢できる時間ってどれくらいでしょう

そもそも犬はどれくらいトイレを我慢できるのでしょうか。一般に子犬の時期は短く、成長するにつれ徐々に長くなってくるようです。

子犬では月齢+1時間で、成犬になるとおおよそ12時間程度は我慢できると言われています。つまり生後3か月の子犬の場合は、3+1で4時間程度は我慢できることになりますが、犬種や犬個体の大きさにもよるので、これはあくまでも目安の時間となります。

例えば、旅行などで長い時間自動車の中に居たり、散歩の時トイレをするのが習慣になっている犬が、飼い主さんの都合で散歩に出かけれなかったなどの特殊な場合は、24時間以上我慢したとの報告もあるようです。

とは言え犬が家庭で普通に生活している時は、我慢する必要がないのですから、自然に排泄できることが一番良いことです。特に子犬は、食べる、寝る、排泄することが仕事みたいなものですから、いっぱい食べていっぱい寝ていっぱい出して健康に育ってほしいですよね。

 

トイレを我慢することでリスクが高まる病気

先ほどもお話ししました様に、トイレを我慢することは良いことではありません。私たち人間でもトイレを長い時間我慢すれば体に変調をきたし、ともすれば病気になってしまいます。

人間より長い時間トイレを我慢できる犬であっても、同じことが起こりえます。

膀胱炎

膀胱に炎症が起こる病気で、犬においては比較的多くみられることが知られています。日常生活でトイレの我慢や水分摂取が少ない食生活、ストレスが続くと発症および再発のリスクが高まります。

単純な細菌性膀胱炎であれば、抗生物質の投与で比較的短期間で完治が可能な病気ですが、再発のリスクも高いので原因を取り除くことが大切になってくる病気ともいえます。

尿路結石

尿を作る腎臓、腎臓から膀胱まで尿を運ぶ尿管、尿を溜めておく膀胱、尿を対外へ排出する管の尿道のいずれかに結石が作られる病気です。

排尿の経路に結石が詰まり、ひどくなると膀胱破裂や急性腎不全を誘発するケースもある怖い病気です。膀胱炎と同じく、再発のリスクが高い病気です。

腎臓病

トイレを我慢することで腎臓機能に負担を与えることもありますが、膀胱炎や尿路結石が誘発する原因のひとつであることも多いようです。

犬の死亡原因第3位に挙げられるほどの病気で、急性と慢性の症状があってそれぞれに多くの原因を持つ大きな病気のひとつです

注意

  • 尿の臭いがいつもと違う
  • 尿の量が少ない:頻尿
  • 尿に血が混じる:血尿
  • 排尿時に痛がる:排尿時にいつもと違う鳴き声を出す、震える。

これらは膀胱炎や尿路結石の共通した犬からのサインですので、「もしや」と思ったなら早めに獣医師に相談しましょう。 

 

愛犬を病気にさせないように飼い主さんができること

しつけはしかるより褒める方が効果的

犬を家庭に招いた時、最初にするしつけはトイレトレーニングだと思います。トレーニングでトイレの場所を覚えると基本的にその場所でトイレをするようになります。

ですが、犬に厳しくしつけをすることがトイレを我慢する原因にもなっているのも事実です。人間はトイレの場所を容易に判断できますが、犬にとってトイレをして良い場所といけない場所をすぐ判断するのは難しいことなんです。

失敗してしかられると、ここは(室内は)トイレをしてはいけない場所と覚えてしまうことになります。結果、室内でトイレを我慢することになっちゃうんです。しつけはしかるより褒めて覚えさせるようにした方が効果的なんです。

犬の生活空間は清潔に

犬は基本的にきれい好きな動物です。自分の生活空間が排泄物で汚れてしまうことを嫌います。すでにトイレをしてトイレシーツが汚れている場合、同じシーツの上でトイレをすることを嫌がる犬も少なくありません。

ご家族が仕事や学校に行ってやむなく長い時間留守にする場合以外は、汚れたシーツはこまめに取り換えてあげるようにしましょう。シーツや汚れたサークル内をきれいにしてあげると、すんなりトイレをしてくれる場合も多いはずです。

散歩≠トイレタイムの考え方

散歩に行った時にしかトイレをしない犬もいるようです。トイレトレーニングで室内のトイレで排泄することを覚えた犬も、いつの間にか散歩の時にしかしなくなって、これが習慣化してしまうと散歩=トイレタイムとなってしまいます。

散歩の時犬がトイレをしたくなるのは、仕方がないことですが、トイレをさせる事が散歩の目的にするのはあまりお勧めできません。飼い主さんの都合で散歩に行けなくなった時、大雨や台風などの悪天候の時など、犬はトイレを我慢することになってしまいます。

トイレ出しってご存知でしょうか。散歩の時にしかトイレをしない犬に、トイレするためだけにちょっとだけお外に連れ出すことを言います。

お部屋でトイレを我慢してしまうことの根本的な解決策にはなりませんが、散歩には行くほどの時間は無いけどちょっとだけならお外に出してあげれるって場合はトイレ出しが有効です。

散歩とトイレは切り離して考える方が良いと思います。室内でも散歩でもトイレができるのが犬にとって良いことです。

トイレをしましょう大作戦!

トイレ出しは根本的な解決策にはならないとお話ししましたが、それでは根本的な解決策をご提示いたしますね。散歩の時にしかトイレをしない犬にお部屋でもトイレをしてもらうためのトレーニングです。

また、トイレトレーニングで覚えた場所以外ではトイレをしてはいけないと判断してしまう犬もいます。例えば飼い主さんと一緒に旅行に出かけたり、知り合いのご家庭に訪問したり、こんな時はいつものトイレがありませんからトイレを我慢してしまうことになってしまいます。

こんな時は、犬に覚えてもらうと安心できる良い解決方法があります。それは音による条件反射を利用して、犬に排泄を促す手段です。

トイレをしている犬に常に同じ音を聞かせるようにします。そうするとその音を聞くと条件反射で排泄をするようになります。おすすめはクリッカーという道具です。

トイレを我慢できないってどんな時?

逆にトイレをがまんできない場合も考えてみましょう。

一般的に犬がトイレを失敗する原因

しつけ不足:トイレトレーニングが完成していない。

病気や怪我:思うように体を動かすことができない。

トイレに不満:汚れていたり、トイレの場所が落ち着かない。

分離不安:飼い主さんから離れることで、不安や恐怖を感じ精神的なパニックに陥る状態。

老化:高齢になることで、今までできていたトイレが難しくなる。 

ではそれぞれについて少しお話ししてみますね。

しつけ不足

トイレトレーニングがまだ終わってなかったり、トレーニングが失敗した時は再トレーニングを実行しましょう。ポイントはしかるのではなく、褒めることです

病気や怪我

病気や怪我:病気や怪我の場合は、治るまでは飼い主さんが援けてあげましょう。一刻でも早く元気になって欲しいですよね。

トイレに不満

犬はきれい好きな動物です。何度も使用したトイレシーツの上でトイレをするのを嫌ったり、トイレの近くに『気になるもの』が散乱していると、そこでは落ち着いてトイレができずにトイレ以外の場所でしてしまう場合もあります。

トイレはもとより犬の生活空間を清潔に保つようにしましょう。

分離不安

分離不安の状態は犬にとっても飼い主さんにとっても悲しい状態です。まず少しずつひとりになることに慣らしていくようにしましょう。

最初は5分からという具合にいきなり長い時間に設定するのではなく、短い時間で回数をこなして慣らしていくのが効果的です。

老化

犬が加齢して老化が進むと、トイレを失敗することが増えてきます。これは、私たち人間でも同じですよね。

目安としては、犬の年齢が7歳を超えたあたりで、急にトイレの失敗が増えてきたと感じる場合は、老化によるトイレの失敗の可能性が高いです。

関連記事
分離不安についての記事がこちらにもあります。良かったら見てください。

犬が留守番中にトイレを失敗する理由は不安が関係していた?

2018年11月25日

 

老化が原因のトイレの変化

・トイレの時間まで我慢できなくなる

・トイレの回数が増える

・トイレのルールを間違える

・トイレの場所以外で排泄をする

・興奮したり吠えたりすると尿漏れをする

・排泄する姿勢を取ってから実際の排泄まで時間がかかる

・便が硬かったり下痢っぽかったり不安定になる

 

愛情を持って接することが一番の老化対策

トイレを我慢できない、つまり失敗することが老化によるものであるなら、まず飼い主さんが心がけてほしいことは、けっして叱らないことです。犬に悪意があるわけではありません。叱ることで犬が萎縮してしまい、失敗を繰り返してしまう悪循環に陥ります。

トイレの失敗が増えてきたなら、トイレの数を増やすことで失敗を少なくする工夫もしましょう。犬がトイレに行きたいような仕草をみせたなら、トイレの場所まで連れて行くなどのサポートをしてあげることも忘れないようにしましょう。

犬の不安と飼い主さんの手間を軽くするために、犬用のおむつを用意することも考えてみてはいかがでしょうか。おむつを付けるようになったら、こまめに様子を見て汚れていたらすぐに交換するようにしましょう。

毛が長い犬の場合は、お尻のまわりの毛をあらかじめ短くカットしておくと、清潔に保つことができます。

 
お出かけには、おしゃれにも気を使って
 
老化によるトイレの失敗は、病気や怪我、しつけ不足とは違って、加齢によって引き起こされるものです。ですので、根本的に治す、あるいは再トレーニングをすることは難しく、それらは犬にとっても大きな負担となってしまいます。
 

あくまでも、老化が原因なのだからそういうものなのだ、と受け入れる姿勢が大切になります。飼い主さんの落胆や失望を、犬はとても敏感に感じ取ります。

もしトイレを失敗してしまったとしても優しく、「よしよし大丈夫、いい子だね」などと声を掛けて犬を安心させてあげてください。

元気だった愛犬がだんだんと衰え、弱っていく姿を見るのは辛いものですよね。ですが、老犬になっても最期まで看取り、幸せな一生を終えさせてあげることも飼い主さんの大きな責任のひとつですから、最大限のケアをしてあげましょう。

 

犬が震える原因のひとつはトイレの我慢だった

犬が震えるのは単純に寒い時、不安や恐怖など極度の緊張をしている時、あるいは怒っている時など、いろいろな理由があります。

人間でも小さなお子さんがトイレを我慢している時に、ブルブル震えたり、ジタバタしたりしている所を見たことがある方は多いのではないでしょうか。

実は犬も同じように震えることがあります。トイレを我慢することも、震えの原因になり得るんですね。

ですが、震えるほどトイレを我慢させるのはさすがに可愛そうですよね。病気や怪我などの仕方がない場合を除いて、安心してトイレができるようにしてあげるのも飼い主さんの務めです。

前回のトイレからどのくらい時間が経っているかを考えて、トイレに誘導したり、トイレ出しをしたりして、「トイレをしていいんだよー」と犬に排泄を促すことを試みましょう。

見られている状態でトイレをすることを嫌う犬もいるので、設置したトイレにちょっとした覆いをかけてあげるのも効果があります。

気が散るものがトイレの近くにある時も、気になってトイレができない犬もいるので、トイレ回りは乱雑にせず、清潔に保ってあげると安心して排泄するようになります。

 

まとめ

犬がトイレを我慢したり、逆に我慢できなかったりするのには、さまざまな理由や原因が隠れていることが分かりました。犬に限らず、排泄をする行為は食べることと同じく、とっても大切な健康を保つための仕組みです。

何を気にしているのかをじっくり観察し、原因を取り除いてあげることが大切なのではないでしょうか。

トイレを我慢させることなく自然に排泄ができるように気を配り、犬にとって過ごしやすくなるような環境を整えてあげたいですよね。それは飼い主さんでなければできないことだと思います。

  1. トイレを我慢できる時間 : 目安として、仔犬では月齢+1時間、成犬になれば12時間程度は我慢できる。
  2. 我慢することが原因で病気にもなる : 一般的なのは膀胱炎と尿路結石。それらが誘発して腎臓病になることも。
  3. トイレを我慢できないのにも理由がある : 病気や怪我、トイレの状態、老化によってトイレを失敗してしまうことがある。
  4. 震えているのはトイレを我慢している? : 震える理由はいろいろあるが、トイレの我慢が原因の時もある。

 

古来より犬は私たち人間と密接な関係を築いてきました。警察犬や、牧羊犬、雪原では犬ぞりを引く犬たちのように、人間と一緒に仕事をする犬もいます。さらに、盲導犬や介護犬のように、人間の生活を助けてくれる犬もいますよね。

身近にいるはずの犬であるのに、私たちは犬のことを深く分かってはいないのではないでしょうか。もともとは野生だった犬の習性とか、食べてはいけないものなど、どうしてトイレを我慢してしまうのかもその一つですよね。

人間のように言葉で直接意思を伝えることができませんが、犬はその行動で私たちに何かを伝えようとしています。吠えたり、しっぽを振ったり、震えたり。

犬と一緒に生活している私たちは、犬からのそのサインを見逃さないようにして、犬が伝えようとしている何かを感じ取れるようになれば、犬と私たちは今よりずっと近くで寄り添い、より深い絆で結ばれるようになると思います。

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