私達に、癒しと家族の温かさを与えてくれる愛犬の存在は、犬好きの皆さんにとって、なくてはならないものですよね。もちろん私も同じです。
成長した今でももちろんかわいいですが、特にラテやマロンが幼かった頃は白い毛玉が歩いているようで、見ているだけで幸せでした。電化製品のコードのカミカミや、配達員さんに向かって吠えまくるという行為に遭遇するまでは。
そう。愛しい愛犬とはいえ、しつけは必要になります。
ただ、「しつけ」と一言で言っても、その方法は様々です。いい子にしていた時におやつをあげるという飼い主さんもいれば、おやつをあげず、思いっきり褒めるだけという飼い主さんもいますよね。
でも、ご近所さんや配達員さんといった、他の方に迷惑をかけてしまう行為はなるべく早く止めさせた方がいいでしょう。だからといって、わんちゃんを直接叩くようなしつけはしたくないですよね。
そこで今回は「音」を使ったしつけを紹介します。音を上手に利用すれば、配達員さんへ吠えるクセなど、わんちゃんの困ったクセを止めることができるのです。
「音なんて、本当に役立つの?」
「音で困り事が減るなんて、なんだか信じられないなぁ…」
半信半疑な飼い主さんにこそぜひ試してもらいたいのが、このしつけ方法です。さっそく紹介していきます。
愛犬のしつけに音!?効果はあるの?

わんちゃんのしつけに「音」。「音」は様々な所で耳にしますよね。そんなありふれていて、実際には見えない状態の「音」で、本当に困り事が解決するのでしょうか?
結論を先に言ってしまうと、「個体差にもよりますが効果はあります」という答えになります。
わんちゃんは学習能力が高いので、止めさせたい行動をとった直後に嫌なことがあると「この行動をすると、嫌なことが起こるんだ」と学習します。特に「音」は、耳に障害が無い限り、必ず入ってきてしまう情報の1つです。人間も同じですよね。その「音」を「嫌なこと」としてしつけに利用することで、わんちゃんにとってはかなり強烈な印象が残るしつけになるのです。
そこで、わんちゃんの学習能力と「音」の強烈な印象を活かせば、電化製品のコードにイタズラをするクセも、来客時に大声で吠えてしまうクセも止めさせることができます。



もちろん、個体差があるので「必ず効果がある」とは言い切れないのが正直なところです。
また、しつけの方法を間違えてしまえば効果はありません。むしろ逆効果になり、余計その行動が強まってしまうこともあります。
でも安心してください。これから音を使ったより効果的なしつけの方法を紹介していきますね。
聞きたくない!犬にとって嫌な音

まずは、わんちゃんにとって嫌な音だとされている「音の種類」を見ていきましょう。これを知ることで、わんちゃんに対する音を使ったしつけに応用できます。
金属音
金属同士が擦れ合うことで生じる音です。基本的に自然界には存在しない音なので、わんちゃんも敏感に反応します。人間も反応してしまいますよね。
具体的には、楽器のシンバルの音がまず挙げられます。身近なところだと、金属製の鍋のふたをフローリングなどの硬い床に落とした時の音、モーター音が激しい掃除機やドライヤー、バイクの音などが代表的です。
破裂音・突然起こった大きな音
何かが破裂した時の大きな音や、無音の状態からいきなり発生した大きな音も、わんちゃんは苦手だといわれています。
具体的には、打ち上げ花火が開いた際の音や雷・落雷の音、風船が破裂した際の音などが挙げられます。


超音波
人の耳には聞こえない高周波の音である「超音波」も、わんちゃんは苦手なのだそうです。「超音波」とは、音の単位でいうと20,000Hz(ヘルツ)以上の音をいいます。
私達人間が聞くことができる周波数の範囲は20~20,000Hzなのに対して、わんちゃんは40~65,000Hz程度と、人間よりも高い周波数の音を聞くことができます。わんちゃんは私達が思っているよりも耳がいいのです。
そしてわんちゃんは、その聞くことができる周波数の中でも、13,500Hz~20,000Hzの間の高周波が特に苦手だといわれています。
他にも、甲高い音やわんちゃんが理解できないような複雑な音も、嫌な音の種類に入ります。
ちょっと待って!音のしつけをする前に

「苦手な音が分かったから、さっそくしつけに応用しよう」という飼い主さんもいるかと思います。
でもちょっと待ってください! 効果的なしつけの方法を覚えないと、最初に話したようにしつけが逆効果になってしまうこともあります。ここでは大きな注意点を2つ挙げますね。
音に対する「慣れ」
最初の注意点は、音に対する「慣れ」です。
音を使ったしつけは、あくまでも本当に困っている行為に対してだけ行うようにしましょう。頻繁に音を利用したしつけグッズを使っているとわんちゃんも慣れてしまい、効果がだんだん無くなってしまいます。
超音波が出るタイプのグッズを使っている場合は、音波の周波数を変えるなど、わんちゃんが慣れないように工夫してみましょう。
もちろん「最初から大きい音なんてかわいそう」と、小さな音しか出さないのではしつけの効果はありません。思いきって大きな音を出すようにしましょう。
音に対する「恐怖症」
もう1つの注意点は、音に対する「恐怖症」です。
しつけグッズの音が鳴った時、わんちゃんがテーブルなどの下に隠れて震えている、また、あきらかに怯えるような行動をとった際は、音を鳴らすのを止めた方がいいでしょう。わんちゃんがその音に対して恐怖症を発症している可能性があるからです。
音・雷・風雨恐怖症は、音に反応しやすい犬種で良く発生します。人気犬種ではコリー系の犬種で起こりやすい傾向にあります。
また、音に対しては、子犬の社会化期における社会化の程度どの程度であったかが恐怖症発症に重要な要素となります。十分に社会化された犬であれば、音恐怖症は起こりにくくなります。
上のサイトにもあるように、音に対する恐怖症は過去に経験した嫌な思い出から発症することもあります。金属製の鍋のふたに驚いてしまったのなら、フライパンや鍋を取り出すだけで恐怖を感じる、ということも起こるのです。
もし、しつけグッズの音を鳴らすのを止めても怯える様子が続いたら、プロのドッグトレーナーに相談するか、動物病院へ行って一度診てもらうようにしましょう。
より効果的に!音を使ったしつけの方法
注意点が分かったところで、ここからは音を使ったより効果的なしつけの方法を紹介していきます。
ここでは仮に「インターホンが鳴った時に吠えるクセを止めさせたい」という場面を見ていきます。しつけの流れは以下の通りです。
- 音の出る「しつけグッズ」を手元に置いておく
- わんちゃんが吠えたらそのしつけグッズを使う
- 同時に「ダメ!」と声も掛ける
- わんちゃんが驚いて吠えるのを止めたら、しつけグッズを使うのを止める
- また吠えだしたら再度使う
- これをしばらく繰り返す
- インターホンが鳴っても吠えなくなったら、その時初めて褒める
では、具体的に見ていきましょう。





――1週間後




大切なのは7つ目の「インターホンが鳴っても吠えなくなったら、その時初めて褒める」ところです。
しつけグッズを使ってわんちゃんが吠えなくなった直後に褒めてしまうと、わんちゃんは「しつけグッズの音がなったら褒めてもらえる」と間違った学習してしまいます。そうならないためにも「インターホンが鳴っても吠えなかったから褒めてもらえた」という正しい学習が重要になるのです。
そのためわんちゃんを褒めるのは、そのものに対して完全に吠えなくなった時に限定しておきましょう。
使ってみよう!音でしつけるグッズ7選

音を使ったしつけの流れが分かったところで、いよいよしつけに使える「音グッズ」を紹介します。
わんちゃんによって、効果があるものと無いものが出てくるかと思いますが、より効果的なグッズを使うようにしてみましょう。
手軽に購入!市販品編
超音波でわんちゃんを止めるタイプ|ドギーマン しつけの合図 マナーコール

こちらは、わんちゃんだけに聞こえる超音波を発生させる携帯型の機械です。超音波の強さを「強」と「弱」で切り替えることができるため、わんちゃんも音に慣れることが少ないです。それでも音に慣れてしまうことがあるので、飼い主さんの声かけも並行して行うようにしましょう。



音や振動などが発生する首輪タイプ|Vinmall 無駄吠え防止首輪 進化版しつけ用首輪 充電式

こちらは首輪タイプのしつけグッズです。警告音が鳴る他、振動や電気ショックも発生させることができます。充電式でもあるので、電池の消耗にも悩むことはありません。
ただ、わんちゃんによっては皮膚の薄い子もいるので、振動や電気ショックは多用しない方がよいでしょう。



このように、場合によってはわんちゃんのストレスの原因にもなるので、元気が無くなる、首輪を取るような行動をするなど嫌がる様子が見られたら、すぐに外してあげるようにしてください。
いい印象の音でしつけるタイプ|ペットセーフ クリッカー パープル

上の2つが「叱る系」のしつけグッズだったのに対して、こちらは「褒める系」のしつけグッズです。
わんちゃんが「お手」や「伏せ」などの動作ができた際にこのクリッカーを鳴らし、直後にトリーツとも呼ばれるごほうびおやつを与えます。これを繰り返すことで、わんちゃんはクリッカーの音と褒められてトリーツがもらえることの関係を理解し、飼い主の指示を聞くようになります。










費用を抑える!手作り編
ガチャガチャ缶
あまり費用をかけられないという飼い主さんは、しつけグッズを手作りしてみましょう。まず紹介するのは「ガチャガチャ缶」です。作り方は以下の通りです。
- 空き缶などの筒状の金属容器を用意する(空き缶の場合はより硬いスチール缶がおすすめです)
- 空き缶の中に小石や小銭を入れる(小銭は1円玉だと軽すぎるので10円玉くらいの重さにしましょう)
- 小石や小銭を入れ終えたら入れた口をラップで覆い、ガムテープなどでしっかり留める
これで「ガチャガチャ缶」の完成です。けっこう簡単ですよね。
灰皿UFO
もう1つ紹介する手作りグッズは「灰皿UFO」です。こちらの作り方は以下の通りです。
- 100均などでアルミ製の灰皿を2つ購入する
- 灰皿をUFOのような形になるようにテープなどで貼り合わせる
これで「灰皿UFO」の完成です。「ガチャガチャ缶」より簡単ですね。
どうやって使うの?
「ガチャガチャ缶」と「灰皿UFO」。どちらもフローリングなどの硬い床に落として使用します。
硬い床に落とすと大きな音が発生しますよね。すると、わんちゃんは音に驚いてそれまでの行動を止めるようになります。
使うタイミングとしては、超音波や音を発生させるしつけグッズと同じです。費用がほとんどかからないので、家や部屋の複数個所に用意しておいて、いつでも音を鳴らせるようにしておくといいでしょう。
ただ、かなり大きな音がするので近所迷惑になる場合もあります。特にアパートなどの集合住宅では、落とした際の振動や音がダイレクトに下へ伝わってしまいます。使う際は場所や時間などをよく考えて使用するようにしましょう。
スマートフォンを持つ方はこれ!アプリ編
Android向けアプリ|犬笛
スマートフォンを持っているという飼い主さんは、わんちゃんのしつけに利用できる「音アプリ」をダウンロードしてみましょう。
こちらのアプリは8,000Hz~20,000Hzまでの周波数の音を発生させることができます。わんちゃんが苦手な周波数の音も発生させられるので、緊急で吠えるのを止めさせたい時などに活躍します。「Google Playストア」から基本無料でダウンロードできるのも嬉しいですね。
iPhone向けアプリ|ドッグホイッスル
こちらのアプリも、わんちゃんだけに聞こえる周波数の音を発生させることができます。噛むクセや吠えるクセなど、わんちゃんの困ったクセを治すのに活躍しそうですね。こちらもiPhoneやiPadの「App Store」から基本無料でダウンロードできます。



人間には聞こえない音が出ているので、アプリを起動させたまま終了させるのを忘れることもあると思います。ずっと起動させたままだと、わんちゃんにとっては不快な状態が続いてしまうので、アプリを使い終わったらきちんと終了させるようにしましょう。
まとめ
ここまで、しつけに使うことができる様々な音や、関連したグッズを紹介してきました。まとめると以下のようになります。
- 普段、聞き慣れない音だとしつけ効果大!
- 金属音や超音波。わんちゃんの嫌いな音を知っておこう
- 音に対する「慣れ」と「恐怖症」には要注意!
- 褒めるのは「ここぞ!」という正しいタイミングで!
- わんちゃんに合ったしつけグッズを利用してみよう
金属音に超音波などの普段聞き慣れていない音だと、それだけわんちゃんも驚きます。他の方に迷惑がかかる吠えるクセなどを治したい時には、この音を使ったしつけやグッズ、アプリをぜひ試してみてください。
ただ、わんちゃんがその音に対して恐怖を抱いてしまう可能性もあるので、慎重に使うことも大事になってきます。わんちゃんに異常が見受けられたら、すぐに音の使用を止めて、わんちゃんの心の緊張をほぐしてあげましょう。
しつけの基本は「褒めること」です。そのことを頭に置きつつ、わんちゃんにとっての嫌な音を利用するのは最終手段と考えておきましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。この記事が、あなたのわんちゃんの困ったクセを治す手助けになれば幸いです。