サザエさんの有名な歌で、「お魚くわえたどら猫~」っていうフレーズを皆さんも一度は耳にしたことがあると思います。
ネコちゃんとお魚はなんとなくセットになる印象がありますよね。でもわんちゃんと言えば骨をかじっているイメージが多くて、お魚と結びつくイメージがあまりないのではないでしょうか。
そうなると「愛犬にお魚はあげても良いんだっけ?」「魚介類は食べさせて良いの?」という疑問を持つ方がいらっしゃるかもしれません。
もうご存じの方は心配ありませんが、疑問が解決されていないままわんちゃんにお魚や魚介類を食べさせてしまうと、わんちゃんを体調不良にしてしまう可能性があります。
今回はそんなお魚と魚介類についてお話ししていきます。手作りご飯レシピなども紹介していきますよ!
わんちゃんにお魚はあげても良いの?
結論から先に言ってしまいますが、わんちゃんは魚を食べても大丈夫です。わんちゃんは元々肉食動物であり、人間との共同生活をしていく中で雑食動物になりました。
今の日本には色んな犬種のわんちゃんが暮らしていると思いますが、昔日本に住んでいた野生のわんちゃんは、海が多い地域ということもあり、お魚を食べていたようです。
しかもお魚には良質なたんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれているので、わんちゃんの健康にとっては良いことずくめなんです。
どんな良いことがあるのか、魚を食べるメリットでもある5つの栄養素に焦点を当てて見ていきましょう。
お魚のタンパク質
お肉のタンパク質よりも体内で消化されやすいという特徴があります。また体内にある不要な塩分を排出してくれる働きがあるので、高血圧予防にもなります。
タンパク質の代謝に負担がかかってしまう腎臓の弱ったわんちゃんや、心臓が弱くて血圧コントロールをしなければいけないわんちゃんにはもってこいの食材です。
カルシウム
言わずと知れた歯や骨などを強化してくれる効果があります。またストレス解消の効果や、病原菌に対する抵抗力を高めてくれる効果もあります。
DHA
お魚の中でも青魚に多く含まれています。人間向けのサプリメントの紹介にもあるように、脳の働きを活発にし、学習能力・記憶力を高める働きがあります。わんちゃんにとっても同じ効果があり、高齢のわんちゃんには認知症予防になります。
EPA
血流を悪くするコレステロールや脂肪分を減らす効果があります。動脈硬化や心筋梗塞などの予防に効果的と言われていて、心臓の弱っているわんちゃんにオススメです。またDHA同様に、高齢犬の認知症予防にも効果があります。
タウリン
栄養ドリンクのCMなんかで聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。目の疲労回復や血管をきれいにしてくれる効果があります。
血管がキレイになると、動脈硬化などの病気予防になりますし、血流が良くなるので疲れにくい健康な身体になります。
- タンパク質
- カルシウム
- DHA
- EPA
- タウリン
メリットだらけ? お魚を食べさせる時の4つの注意点は?
メリットばかりであれば良いのですが、残念なことに何事も良いことだけではありません。お魚をわんちゃんに食べさせる時にもやはり気をつけなくてはいけないことが4つあります。
わんちゃんの健康にも影響するとても大切なことなので、これからお魚を食べさせてみようかなとお考えの方はご参考にして下さい。最悪の場合は、わんちゃんを病院へ連れて行かなくてはいけなくなります。
生魚は寄生虫に注意
基本的にお魚やお肉などのタンパク質は加熱されることで変質し、消化しにくくなります。また本来の栄養素が壊れてしまうこともあります。その点、生食は消化も良く、栄養もしっかりと摂れるというメリットがあります。
ただしお魚を生で食べさせる場合は、寄生虫に気をつけなければいけません。とりわけサーモンなどは、人間でも寄生虫の危険に晒されるくらいです。
与える時はお刺身用のお魚など、人間でも生で食べられる物を与えた方がリスクがありません。釣りなどがお好きな方もいらっしゃると思いますが、ご自分で釣ってきたお魚はわんちゃんに与えないか、加熱した物に限定した方が良いです。
市販の焼き魚や干物
市販の物はほとんどが人間向けに味付けされた物です。人間は塩分摂取に慣れていますが、わんちゃんが元々食べていた物には味付けなどありません。
そのため、塩分が強すぎると体調を崩す原因になります。また高血圧のリスクも高まります。
市販の焼き魚や干物は特に塩分の高い製品が多いので、ご自身で手作りご飯を与える場合などは、未加工のお魚がオススメです。
不慣れな食材とアレルギー
お魚を食べたことのないわんちゃんにとって、当然お魚は不慣れな食材です。不慣れな食材を初めから沢山食べさせると、下痢や嘔吐など体調不良につながることがあります。
またお魚はアレルギーを起こしにくい食べ物ですが、アレルギーのあるわんちゃんも中にはいます。お魚の中では特に青魚がアレルギーになりやすいです。
初めてお魚を与える時は、アレルギー源であるヒスタミンを作る成分ヒスジンがあまり含まれない白身魚がオススメです。お魚を食べさせた後で体調が悪そうな時は、一定の間はお魚を与えるのを中断しましょう。
食べ過ぎには注意!
何事も過度になるのは良いことではありません。わんちゃんにとっても重要な栄養素が含まれているお魚ですが、過剰に摂取させると黄色脂肪症という病気になることがあります。
この病気は、お魚とりわけ青魚に含まれるDHAやEPAなどの「多価不飽和脂肪酸」という栄養素の過剰摂取により、体内のビタミンEが不足してしまうことが原因で起こります。
その症状として、発熱や食欲不振、全身の痛み、お腹や足の付け根の脂肪の硬化などがあります。
手作りご飯を与えるのであれば、わんちゃんが病気などでない限り、色々な食材を織り交ぜて栄養バランスの良い食生活になるよう調整してあげると良いです。
- 生食は寄生虫に注意!
- 市販の焼き魚や干物はわんちゃんには塩分過多!
- 初めて食べさせる場合は少しずつ慣らして、アレルギーの少ない白身魚から始める!
- お魚の食べさせ過ぎは体調不良の原因に!
どんなお魚がオススメ? 魚介類も食べてOK?
1日に与えて良いお魚の摂取タンパク質量は10~15gです。
下のサイトでは食材やその量を設定して、食材に含まれるタンパク質量や脂質など栄養素を確認できます。
タラ
低脂肪で高タンパクなお魚で、ビタミンDが比較的多く含まれています。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する働きがあり、健康な身体作りに役立ちます。
わんちゃんに与える時は、塩などは振らずに身を茹で、食べやすい大きさに切ってあげましょう。白身魚で価格も高くないので、初めてわんちゃんにお魚を食べさせる時にオススメです。
カレイ
タラ同様、低脂肪で高タンパクなお魚です。とても消化性が良く、糖質の分解を助けるビタミンB1が含まれています。
注意点として、小骨が多いのが特徴です。わんちゃんに与える時は、まずは茹でて小骨をしっかり取り除いて食べさせるようにしましょう。
タイ
タイは低脂肪で高タンパクなお魚です。消化も良いのでとてもヘルシーな食材です。わんちゃんに与える時はさっと湯がいて、しっかり骨を取り除いてから与えましょう。
タイの骨は太くてしっかりとしている為、誤飲した場合、わんちゃんがとても苦しい思いをしてしまう可能性があります。
鮭・サーモン
鮭やサーモンは白身魚と比べると脂肪分が高く、カロリーも高めです。脂肪の摂取制限や低カロリー食に制限されているわんちゃんには与えないようにしましょう。
ですが鮭やサーモンの脂肪は、健康な皮膚や毛並みを作る手助けをする良質な脂肪なので、元気なわんちゃんにはオススメの食材です。
ただし鮭やサーモンはアニサキスという寄生虫が付いていることが多いので、生食用でない物は必ず加熱調理をし、食べやすいサイズに刻んでから与えましょう。
マグロ
マグロの赤身は低脂肪で高タンパクな食材です。マグロに含まれる脂質も良質なもので、血液をサラサラにする効果があります。わんちゃんに与える時は、さっと茹でるか、刺身用であれば生で食べさせても大丈夫です。
サバ
サバは、マグロと同様に血液をサラサラにする効果と抗炎症作用のある脂肪を含むお魚です。傷みが早いので、新鮮なものを調理して与えるのが良いです。
サバの骨は細かく鋭いので、わんちゃんに食べさせる時には骨が取り除かれているかを確認してから食べさせるようにしましょう。
サンマ
サンマは老化を予防するDHAやEPAを豊富に含んでいるお魚です。栄養を逃さないように、まるごと焼いて調理するのがオススメです。
サンマの小骨は小さくて数が多いので取るのが大変ですが、骨を取り除いてから食べさせるか、骨ごと細かく刻んで食べさせるのが良いです。喉に刺さりそうな骨が1つもないように細かく確認しましょう。
アジ
アジはビタミンやDHAを多く含んでおり、わんちゃんの健康にとても良い食材です。細かい小骨があり取り除くのが大変ですが、与える前には骨がないかを確認しましょう。
わんちゃんに食べさせる時は、焼いた身をほぐして食べやすくしてあげると良いです。
魚介類(タコ、イカ、エビ、貝、カニなど)
「お魚が食べられるなら、魚介類もあげて大丈夫でしょ!」と思ってしまいがちですが、わんちゃんにとって魚介類は消化器トラブルの元です。食べさせない方が良いでしょう。
わんちゃんにとって魚介類は消化しにくい食材であり、嘔吐や下痢などの体調不良を引き起こしてしまう可能性があります。
またお魚に比べ、魚介類はアレルギー源になりやすい傾向にある為、アレルギーを発症してしまう可能性もあります。エビやカニなどの甲殻類は、殻を誤飲してしまうこともあるので危険性は否めません。
もし与えるのであれば、少量ずつ様子を見ながら食べさせて下さい。また熱処理を加えて細かく刻んでから与えるなど、食べやすくしてあげた方が良いです。
お魚の骨は1本残らず取るべき? 皮は捨てるの?
基本的には、わんちゃんに骨が付いたままのお魚は食べさせないで下さい。わんちゃんはある程度の大きさになるまで食べ物を噛むと、後は飲み込む習性があります。
骨付きのお魚を与えてしまうと、噛む時に骨で口の中を傷つけてしまう可能性や、そのまま骨を飲み込んでしまい喉や胃腸に骨が刺さってしまう可能性があり、とても危険です。
最悪の場合、わんちゃんの内臓に骨が刺さると出血や刺さった場所から炎症が広がってしまい、病院での治療が必要になることもあります。
お魚の骨は加熱されると硬くなる為、加熱後の骨はさらに危険です。細かい骨など、加熱前に取れる骨は取り除き、加熱調理後にも身をほぐしながら大きな骨をしっかりと取り除きましょう。
1本残らず取らなければいけないという訳ではなく、調理したお魚を細かく刻むなどの工夫をして、小骨も口内などで刺さらないくらい小さくなるのであれば大丈夫です。
また圧力鍋で骨もホロホロになるほど柔らかくなるまで煮るなど、骨の危険性を除外できる調理法であれば少しくらいの骨は気にしなくても大丈夫です。
最後に、お魚の皮はわんちゃんに食べさせても大丈夫です。ただし、ウロコが付いている場合はウロコをしっかり取るように気をつけてください。消化性があまり良くなく、ウロコの大きさによっては誤飲の可能性があります。
お魚を使った手作りレシピ!
電子レンジで! タラと野菜の犬ご飯
お魚を使った手作りご飯と聞くと、「わんちゃんに初めてお魚を食べさせるからちょっと不安」「料理が苦手で難しいレシピはちょっと無理かも」「コスパの良いレシピってないのかな?」なんて思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時にオススメなのが、電子レンジで簡単にできるタラを使った料理です。タラはお手頃な価格で手に入り、高タンパクで栄養豊富です。初めてわんちゃんにお魚を食べさせる時にもアレルギーになりにくいオススメの食材です。また電子レンジで簡単に出来るので、料理が苦手な方でも作れちゃいます。
動画では必要な材料や作り方も説明しているのでぜひ試してみて下さい。
動画で紹介している具材の量は、3kgの成犬の2食分になっています。お魚の量はわんちゃんの1日の摂取量になっているので、3kgより大きなわんちゃんの場合は、他の具材を増やしてご飯の量を調整して下さい。
サーモン(鮭)と野菜のスープ煮
わんちゃんの皮膚や毛並みを良くする栄養満点のサーモンと野菜のスープ煮をご紹介します。味付けはせず、具材本来の旨みのみで十分です。具材の下ごしらえが出来れば、後は煮込むだけなので簡単です。サーモンの骨をちゃんと取り除くことを注意しましょう。
こちらのレシピも動画がありますので、ぜひご覧になってみて下さい。
動画で紹介している具材の量は、3kgの成犬の2食分になっています。お魚の量はわんちゃんの1日の摂取量になっているので、3kgより大きなわんちゃんの場合は、他の具材を増やしてご飯の量を調整して下さい。
アジのチャーハン
お刺身用のアジを使った炒め物レシピです。調味料はアジ本来の旨みだけです。具材を炒めるだけで出来てしまうので、ぜひお試し下さい。
材料(※3kgの成犬 1日2食分)
- アジ(刺身用) 70g
- 大根 40g
- ニンジン 20g
- ご飯 40g
- すりごま 適量
- 大葉 適量
作り方
- 刺身用のアジに小骨がないか確認し、あれば取り除く。
- 具材を同じくらいの大きさに刻む。
- フライパンに少量の油をひいて、アジを先に炒める。
- アジに火が通ってきたら大根を投入。
- アジと大根をある程度炒めたら、ご飯を投入。すりごまもこの段階でまぶします。
- 5が炒まったら、最後にニンジンと大葉を上からかけて出来上がりです。
※注意※
わんちゃんのサイズが大きい場合、お魚の量は変えずに野菜やご飯の量で微調整して下さい。
引用:Cookpad
魚卵は食べさせてもOK?
実は魚卵にはビタミンやミネラルなどの栄養が豊富に含まれており、わんちゃんの健康に役立つ食材です。魚卵にもアニサキスなどの寄生虫が付いている可能性がありますので、生のままでは絶対に与えないで下さい。
魚卵をわんちゃんに与える場合は、味付けなどはせず、しっかりと加熱した上で食べさせるようにしましょう。
まとめ
今回はわんちゃんとお魚や魚介類について話してきました。同じ海の幸でも、わんちゃんにとっての食材としての向き不向きがお魚と魚介類で違うなど、意外な点もあったかも知れません。最後にもう一度、今回の話してきた内容についておさらいしてみましょう。
- お魚はわんちゃんにとって栄養満点で、わんちゃんの健康を支える5つの栄養素を含んでいます。
- ただしお魚を食べさせることは良いことばかりでなく、4つの注意点があります。
- わんちゃんのご飯となるオススメのお魚を8種類紹介しました。ただし魚介類全般はわんちゃんに不向きです。
- お魚の骨には十分注意して下さい。皮はウロコを取れば問題ありません。
- 白身魚、サーモン、青魚を使ったレシピを3つ紹介しました。
- 魚卵は食べさせても問題ありません。与える場合は過熱調理を忘れずに。
お魚は食べさせる時の注意点だけ気をつければ、わんちゃんにとって大切な栄養を補給できる便利な食材です。お魚を食材として取り入れることは、手作りご飯をする上でもお肉ばかりにならずバリエーションが増えます。
また味付けを人間用と分けてしまえば、わんちゃんと飼い主さんが同じメニューで食事を取るなんてことも可能です。わんちゃんも飼い主さんと同じご飯が食べられるとすごく喜ぶんですよね。ぜひともお魚を食材に取り入れてみて下さい。