犬の飼い主の皆さん、災害に備えて防災グッズの準備はしていますか?
あまり嬉しくない話しですが、私たちの住む日本列島は環太平洋造山帯に位置するため、火山噴火や地震による災害は発生件数、規模ともに世界トップクラスです。
2010年代だけでも東日本大震災や熊本地震のように、長期の避難所生活を強いられる大災害が続いています。
さらに過去の大地震発生の周期からすると、今後も多数の犠牲者の発生が不可避で避難生活を強いられるような大規模地震は、いつ起こっても不思議でないと言われています。
日本で生活する場合、大規模自然災害に遭遇する可能性は万が一ではなく、一生に1回以上経験するのは「確定事項」と考えておいたほうが無難かもしれません。
でもたとえ災害が避けられなくても、備えがあれば被害を大幅に減らすこともできます。今回は犬と防災の問題についての情報をお届けします。
逃げるときはあなたと一緒! 避難所を確認する

もし災害で受ける被害を少しでも減らしたいなら事前準備は必須です。まず手始めに自宅近くの避難所の確認からはじめましょう。
国は犬と一緒の避難を推奨しているけど・・
2011年の東日本大震災では、悲しいことに多くのペットが被災し命を落としました。
運よく生き延びたわんちゃんたちも、慣れない避難所でのストレスの大きい暮らしを強いられました。東日本大震災発生当時は、まだペットを受け入れる体制が十分整っていなかったので、各避難所でも試行錯誤がなされました。
こうした事態を受けて、2013年に環境省が避難所でのペット受け入れについてのガイドラインを定めました。
このガイドラインには東日本大震災をはじめとする近年発生した大災害でのペット対応の実例も多く載っています。わんちゃんの避難所生活の実態知る上では貴重な資料です。
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引用:環境省ペットの災害対策
すべての避難所がペット対応ではなかった
これでペットがいても安心して避難できる、と思うかもしれませんがそう単純でもありません。
注意していただきたいのは、すべての避難所がペットの受け入れ対応ができるわけでは無い、という点です。
ですから自宅近くで避難所に指定されている場所が、わんちゃんの受け入れに対応しているかどうかの事前確認は必須です。災害が起こってからでは遅いですからね。
え? 一緒に居られない? 人と犬は居場所が別
避難所がわんちゃんを受け入れてくれても、被災したわんちゃんは飼い主さんと一緒に屋内にいられません。
この辺りは実際に避難所を運用する市町村によっても対応は様々ですが、わんちゃん達の居場所は屋根もない屋外に置かれるのが普通です。ケージなども必要ならば飼い主さんの方で用意しなければなりません。
多くの自治体で、災害発生時の避難所におけるペット受け入れガイドラインを定めていますので、HPなどで一度ご自分のお住まいの場所でどのような運用がなされるかは確認しておくと良いでしょう。



避難所は国の責任 しつけはあなたの責任
避難所では他の被災したわんちゃんたちと同じ場所でまとめて管理されますから、他所の犬に慣れていないとストレスもより大きくなるでしょう。
そして避難所には多くの被災者の方もいますから、そうした方々に迷惑が掛からないように常日頃からのしつけしておくのも重要になります。
事前に歩いて確認 こんなはずじゃなかったを避ける
避難所が近くにあってもそこにたどり着けなければ意味がありません。いちど足を運んでみることをお勧めします。実際にわんちゃんを連れて避難するときの荷物も持って歩いてみると、いざという時のための防災訓練にもなります。
いざ避難! 防災グッズはセットで保管

防災用品はいざという時すぐに持ち出せるように、日頃からわかりやすい場所に一か所にまとめて置いておきましょう。
絶対忘れてはいけないのはコレ
- 薬
- 療法食
病気の種類よっては命にかかわりますし、そうでなくても、治療中で投薬されているのを途中で切らすと病状悪化の危険があります。薬や療法食は最優先です。


必需品 あると避難生活で便利
- いつも食べているペットフードやおやつ
- トイレ用品(トイレシート、ビニール袋など)
- リード、ハーネス
- 犬の写真、記録手帳
- ガムテープ、マジックペン、カッター、新聞紙
- 毛布・タオル
- ケージ・テント
避難するのはわんちゃんにとっても非常に大きなストレスですから、食事やおやつはいつもの食べ慣れているものがいいでしょう。
写真があると、わんちゃんが行方不明になってしまったときに口で説明するより便利です。
記録手帳にはわんちゃんの病歴や性格(注意事項)、食事(回数や量)などを書いておくとよいでしょう。ボランティアなどに預けることになった場合、そのまま渡せます。
もしケージを持ち出せなくても、避難所には大量の救援物資が届けられるので、その空き箱のダンボールが使えれば、簡易的なケージを作ることもできます。ガムテープやカッターはそうしたときに役に立ちます。
ビニール袋は、わんちゃんの排泄物を入れておくのに使えます。災害時はこうしたごみの捨て場所に困る可能性もあります。数日保管しても臭いが漏れないタイプを事前に準備しておくことをお勧めします。



必需品がセットになった防災リュック
防災用品を細々そろえるのが面倒だ、と思う方もいらっしゃるかもしれません。そんな方にお勧めなのがこちらです。キャリー付きのリュックサックの中に、折り畳みケージからフードにトイレ用品まで、避難生活で役立つグッズがセットで入っています。これがあれば突然の災害の襲われても、最低限の生活必需品がそろっているので安心です。
うちの子はどこに? 事前にできる迷子対策

ご近所さんは留守番犬の強い味方
一人暮らしなど、普段はわんちゃんだけでお留守番させている方は、災害時に愛犬と別々の場所で被災して、離れ離れになってしまうリスクも高くなります。
もし近所に親しい人がいたり、わんちゃんと散歩に出たとき犬友を作って緊急時に見てもらうよう頼んでおけるなら、それは極めて有効な迷子対策となります。



マイクロチップを埋め込む
もしわんちゃんと離れ離れになってしまっても、動物病院で事前にマイクロチップを埋め込んでおけば、保護されたときすぐに身元を特定できます。費用は数千円程度です。
注意点としては、マイクロチップは注入するとき大きな注射器を使うので、それがわんちゃんにとって苦痛であったり、読み取り装置がないと情報を読み取れない、といった点です。
マイクロチップとは
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マイクロチップ(MC)は、直径約1~2mm_長さ約8~12mmの円筒形のガラス又はポリマーのカプセルで包まれた小さな電子標識器具です。動物の小さな小さな名札と考えてください。個体識別番号が書かれた機能や、アンテナの役割を果たすコイル等が収めてあります。MCに書かれている番号は、専用のリーダーという器具を使って読むことができます。MC自体は電源を必要としないので、電池の交換は必要なく、一度動物の体内に装着されれば一生交換する必要はありません。
引用:公益財団法人日本獣医師会
迷子札を付ける
わんちゃんの名前や飼い主の住所電話番号など、連絡先の書かれた迷子札をつけておくのも有効な対策です。防災グッズの基本と言っても良いと思います。値段も安く手軽に作れるので是非ご検討ください。





犬視点での問題点 過去の災害の教訓

足元注意、犬にも靴下を! ガラス片が散乱
地震で避難するときは自宅も含めて地面の状態に注意が必要です。大きな災害なら、割れた窓ガラスや鋭利な木片や金属片などが道路に散乱している、と思っておいて間違いありません。
何の備えも無いと、そんな中をわんちゃんを歩かせて移動することになってしまいます。でも事前に備えがあれば足のケガを避けられます。犬用の靴下は是非とも用意しておきたいですね。
そして地震直後だけでなく、避難が長期化して仮設住宅住まいになってしまった場合も注意が必要です。仮設住宅は設営に速さを求められますから、突貫工事になってしまいます。そのため整地などは不十分になってしまいます。
すると地面の砂利の中の木片や釘のような鋭利なものが取り除かれず残ってしまって、わんちゃんを素足で歩かせた時にケガの原因となります。もしもの時に備えて一着靴下を用意しておいてはいかがでしょうか。









やっぱり人間優先 ペットどころではない?
国の指針で避難所へのペットの受け入れも進められていますが、いざ災害となると人間の被災者への対応で担当者も手一杯で、ペットへの対応は後回しにされがちなようです。
確かに多くの被災者が困窮する中で、ペットのことまで構っていられない、というのも無理からぬ話しではあります。
わんちゃんに限らずペットを飼っている方は、困難な避難生活の中で自分自身に加えてペットの面倒も見るのですから、かなりの負担になります。
そんな飼い主さんの負担を減らすべく、わんちゃんを一時的に預かってくれるボランティアの制度もあります。状況に応じて無理せず、頼れるものはどんどん利用することをお勧めします。
災害時は「ペットどころではない」 過去の災害から学ぶ、飼い主ができる備えとは
ペットを家族と思うなら、災害からペットを守る対策を――環境省のシンポジウム「人とペットの災害対策」で、過去の震災を教訓として今後の災害から命と暮らしを守ることをテーマに、国崎信江さん(危機管理教育研究所 所長)が講演を行いました。
引用:PETOKOTO
まとめ
今回は犬と防災の問題についてご紹介しました。
- 事前に自宅近くの避難所がペットに対応しているか確認の上、災害時は犬と一緒に避難する
- 防災グッズで最優先すべきは薬と療法食。その他の必需品もすべて一か所にまとめておく
- ご近所づきあい、マイクロチップ埋め込み、迷子札の作成はどれも愛犬の迷子を防ぐ有効な対策
- 災害発生時は路面の状況が悪いので、犬用靴下は役立つ
東日本大震災を契機に、避難所へのペットの受け入れについても理解が進んではいると思うのですが、ペットの飼い主さんは実際にはかなりの不便を強いられます。
国の決めたガイドラインでは、飼い主がわんちゃんを連れて同じ場所に避難することが推奨されているので、その点は心強い限りなんですが、基本的に災害時は人間が優先されます。
ですから何かあったときのために、わんちゃんを誰か信頼できる人に預けられるよう、今のうちに手配して置くのも良いと思います。
いずれにせよ、大規模災害に巻き込まれた時は、避難生活を強いられるのは間違いありません。
普段から避難経路の確認や防災グッズの準備を怠らず、わんちゃんのしつけもしておけば、不可抗力以外での被害はかなり減らせると思います。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。