大切な愛犬に噛まれた時「噛む時はどうすればいいんだろう」「きちんとしつけたはずなのに間違ってたのかも」と考えたことはないでしょうか。
家中の家具がボロボロになったり、飼い主さんを噛んで、言うことを聞いてくれないなどの行動は困りものですよね。最悪の場合、飼い主さんはもちろん、他人に危害を加えて怪我をさせてしまう事態になりかねません。
今回は、わんちゃんが噛む時のしつけの方法や対処法をご紹介します。すべてのわんちゃんに当てはまるものではありませんが、参考にしていただけたら嬉しいです。
犬が噛むのをやめさせるしつけの基本

わんちゃんが噛むのをやめさせるには、まずしつけの基本を振り返ってみましょう。今まで行ってきたしつけが、なかなかうまくいかないときは、初心にかえることも大切ですよ。
しつけ直す前にすること
飼い主さんの中で、わんちゃんにやってほしい行動とやってはダメな行動を明確にします。そして、やってほしい行動をしたら、快=ご褒美を与え、やってはダメな行動をしたら、不快=叱ります。
今回は噛むのをやめさせることなので、噛んではいけないものの前で、どうして欲しいでしょうか。
- 噛まずにじっと耐えられた→ご褒美
- 我慢できずに噛んでしまった→叱る
この時、叱り方を誤ると恐怖心を覚えて、噛み癖が悪化することがあるので、まずは褒めて伸ばすことを優先的に心がけましょう。
しつけに一貫性を持つこと
ご家族で飼っている場合、しつけに一貫性を持たせてください。例えば、待ての指示をするときに、お母さんは「待て」、子供は「ま~て~」と言ったとします。
「待て」の単語で覚えていたのに、語尾を伸ばされると、わんちゃんにしてみたら、似てるような違うような言葉に聞こえて混乱します。この場合、お母さんの言うことしか聞かないことになりかねません。
他には、お父さんの靴下は遊んでも叱られなくて、子供の靴下で遊ぶと叱られるなども同様に、わんちゃんにとっては同じ靴下なのに、なぜ叱られるのか理解できません。
指示するときの言葉、やっていいこととダメなことを、家族みんなで話し合ってきちんと決めておきましょう。


しつけに集中できる環境を整える
物音をシャットアウトした部屋で、他の不要なおもちゃをすべて片付けて、飼い主さんとしか向き合えない環境を作ります。わんちゃんの集中力は短くて5分、長くても15分と言われています。
集中力がなくなってきたと感じたら、パッと中断して次の日に再度チャレンジしましょう。
大好きなご褒美を用意する
褒めて伸ばすには、やはりご褒美が大事ですよね。おやつをあげる・褒めてあげる・噛んでも良いおもちゃを与えるなどが定番です。
ご褒美をあげる時に注意することは、わんちゃんを興奮させないことです。しつけをしている途中で興奮して、集中力が無くなってしまっては本末転倒になってしまいますよ。
犬が噛むのは主従関係を見直すサイン!?直し方はある?

平和主義者のわんちゃんが本気噛みをしてきたら、それは主従関係を見直すサインです。きちんとしつけをしてあげることで、噛むことを改善できる可能性がありますよ。
主従関係を見直す
わんちゃんが飼い主さんを頼れるリーダーだと認めなければ、わんちゃん自身がリーダーだと思ってしまうので、飼い主さんの指示を一切聞かなくなります。早速チェックしてみましょう。
名前を呼んだらすぐに来るか
このチェックで名前を呼ぶのは、一回だけにしてください。一回でパッと来るなら、飼い主さんが上だという認識なので大丈夫です。何度も連呼してから来る場合は、飼い主さんが下に見られている可能性があります。




わんちゃんの体を触れられるか
わんちゃんの口元や足、尻尾の先を触れられればOKです。これらは敏感な場所なので、触らせてくれるのであれば、飼い主さんに気を許しているということになります。
嫌がられたら信頼されていない=下に見られているということになりますよ。
一回で指示に従うか
「お座り」「待て」などなにか一つ指示を出してください。一回で従えば、主従関係は築けています。群れで行動する犬の習性で、リーダーの指示は絶対です。従わないということは下に見られていますよ。
お腹を出しても逃げないか
わんちゃんのお腹を強制的にさらけ出した時に、おとなしくしていればOKです。嫌がって逃げるようなら信頼されていないので、残念ながら下に見られています。
主従関係を築き直す方法
生活リズムを全て飼い主さん主導にします。エサの時間、散歩の時間を飼い主さんがすべて決めます。鳴いてせがまれても聞いてはいけません。
そのかわり、遊ぶときはたくさん遊んであげて、やめるときはスパッと切り上げましょう。メリハリをつけることが大切ですよ。
とにかく、わんちゃんのワガママな要求には一切応えないことです。潤んだ瞳で訴えられたら、応えてあげたくなってしまいますが、しつけのためだと心を鬼にして無視をしてください。
いけないことをしたらしっかり叱る、いいことをしたらしっかり褒めましょう。わんちゃんがリーダーに求めることは、安心感を与えてくれることです。
落ち着いた態度でふるまうことで、このリーダーの指示に従っていれば安全だということを、わんちゃんが実感できるようになり、主従関係を築くことができますよ。
犬が噛む時の叱り方はどうすればいい?

叱り方を間違えると、恐怖心を覚えて、より一層噛み方が強くなることがあります。叱るときは感情的にならずに、冷静に対応しましょう。
声を出して叱る
わんちゃんが噛んできたら、その場ですぐに「ダメ」「NO」など単語で叱ります。親犬が子犬を叱る時は低い声でうなるので、同じように低い声で言うようにしましょう。
ポイントとしては、大きな声を出さずに、家族内やパートナー同士でも、叱る言葉を統一してください。
噛むのをやめた後に、もう一度手を出して、噛まなければ褒めてあげます。褒める時も「いいこ」「グッド」など言葉を統一してくださいね。これを繰り返し行いましょう。
犬を一人にする
噛まれたらすぐに飼い主さんは別部屋に行って、わんちゃんを一人にするのも効果的です。その際は、絶対にわんちゃんを見ないで、無言で去ります。
噛んでも楽しいことは起こらないということを覚えてもらいましょう。
一人になったわんちゃんは、吠えたり悲しそうな声を出して飼い主さんを呼びますが、心を鬼にして放っておきます。かわいそうだからと行ってしまうと、しつけの意味が無くなってしまいますよ。
しばらくして部屋に戻してからも、すぐに構ってはいけません。時間を置いてから構うようにしましょう。
叩いてはいけない
噛まれた時に叩いてはいけません、というか叩いても意味がありません。母犬が子育てをするときに、叩くという行動はできませんよね。わんちゃんは叩かれても、なんのことだかさっぱりわかりません。
「痛いことをされた」と飼い主さんに不信感を持つだけなので、防衛本能で、ますます噛み癖が悪化してしまいますよ。
犬が噛むのをもう直らないと諦めない

わんちゃんが噛むことを、もう直らないと諦めてはいけません。そのまま放っておくと、他人に危害を加える事故を引き起こす可能性があります。その場合は、当然ですが飼い主さんが、法的責任を負うことになります。
怪我をさせてしまった相手から裁判などを起こされた場合には、過失傷害罪に問われ、30万円以下の罰金または科料(1000円以上1万円未満)の判決が出る可能性が高いです。
また、噛んでしまったわんちゃんに関しては、事故から24時間以内に、保健所に咬傷届(噛みつきの報告)を出す義務があります。
その際に「この犬は狂犬病では無い」という証明書を獣医師に発行してもらい、保健所に提出しなければいけません。
トラブルを避けるためにも、きちんとしつけをすることが、飼い主さんの責任です。費用は掛かってしまいますが、トレーナーさんにお願いしてみるのも検討してみてください。
そして、万が一トラブルが発生してしまった時は、どうすれば良いのか事前に確認して「飼い主の義務」を果たすことをしっかり心得ておきましょう。
犬が噛む対処法・対策はコレ!

わんちゃん「と」遊んでいるのではなく、わんちゃん「で」遊んでいないでしょうか。良かれと思ってしていることが、わんちゃんのストレスになっていないか、これを機に思い返してみましょう。
日常生活でストレス発散をしてあげたり、嫌がることをしつこくしないことが大切ですよ。
噛んでも良いおもちゃを与える
わんちゃんに噛んでも良いおもちゃを与えます。誤飲防止のため、壊れにくいおもちゃにしましょう。コミュニケーションを取るためにも、飼い主さんと一緒に遊べるおもちゃが良いですね。
一人遊びの方が楽しいと覚えてしまうと、自分の物に対する執着心が出て、人が手を出した時に噛んで攻撃しようとすることがあるので、与えるタイミングは注意しましょう。
おすすめのおもちゃ
こちらの商品は、天然木でできており、防腐剤・防カビ剤・防虫剤などの薬品を一切使用していないので安心です。ガジガジかじりたいわんちゃんの欲求を満たしてくれますね。
人の手からおやつをあげる
飼い主さんの手を噛んで遊ぶ行為は、手をおもちゃだと認識しているためです。人間の手は色々な動きをするので、わんちゃんの狩猟本能をかき立てる要素を持っています。
手からおやつをあげることによって、手=美味しいものを貰えるものだと覚えて、手を噛むことをだんだん止めていきますよ。ただし、おやつの与えすぎには注意しましょう。
しつこく構わない
しつこく構われたり、触られると、嫌がって噛んででもやめさせようとします。嫌なことをされたら誰でも怒りますよね。シンプルに嫌なことを嫌だと訴えているだけなのです。
噛めば嫌なことをやめてくれると学習してしまう前に、嫌がっているとわかった時点で手を引きましょう。
環境操作をする
環境操作とは、噛んではいけないものを、わんちゃんのいる空間から排除することです。例えば、スリッパで遊んでしまうなら、わんちゃんから見えない場所にスリッパを遠ざけます。
物を移動させるのが難しい場合は、遊ぶ場所をサークルで仕切ってしまうと良いですね。
噛まれたくないものを噛まれずに済み、わんちゃんも叱られなくて済みます。お互いにストレスがなくなるのでおすすめの方法です。
日常的で指示に従ったときだけ要求を受け入れる
例えば、わんちゃんが遊んで欲しいと要求してきた時に「おすわり」と指示して従ったら、遊んであげるようにします。
要求をすぐに受け入れるのではなく、わんちゃんが自分の要求を満たすには、飼い主さんの指示に従わなければいけないことを学習させましょう。
この時の指示は何度も出さないで、優しい声で言うことがポイントです。そうすることで、何かして欲しい時に、自分からおすわりをするというマナーが自然に身につきますよ。




犬が噛むのは口輪で治せない?

口輪を見たことはあっても、これで噛むのが治るのか、いつ使うのか、わかないことが多いですよね。私も調べるまでは「無理矢理しめ付けているみたいで、かわいそう」だと思っていました。
しかし、調べてみると日常的に使うものではなく、状況によって一時的に使うのが効果的だということがわかりました。
危険回避のために使う
トリマーさんが、トリミングやシャンプーをする時の危険回避のためや、わんちゃんをハサミなどで傷付けないために、口輪を使用することがあります。獣医師さんに診察をしてもらう時にも、暴れて噛んだりしないように使用するケースがあります。
また、散歩の途中で拾い食いを防ぐことができます。水を飲むことはできるので、安全に散歩ができますね。
口輪を付けることは、わんちゃんにとって負担がかかるため、使用する場合は事前に慣れさせておく必要があるでしょう。
おすすめの練習法
まずは口輪が安全なものという認識をさせることが、最も重要と言えます。いきなり装着してしまうと、口輪を見るだけで嫌がるようになってしまいます。
こちらの動画は身近なペットボトルなどを使って、口輪に慣れさせるトレーニングの方法を紹介していますので参考にしてみてください。
口輪で噛み癖を矯正するのは難しい
わんちゃんに限らず、私たち人間も日常生活で、いきなり体の一部を拘束されれば、恐怖や不安を感じますよね。わんちゃんが、なぜ口輪を付けられるのか理解できずに、飼い主さんに不信感を持つ可能性があります。
一時的に危険回避のために使うことはあっても、日常的に使ったところで噛み癖を治すことは難しいと考えた方が良いでしょう。
見た目もかわいいおすすめの口輪
こちらの商品は付けるとアヒル口になる、見た目もかわいい口輪です。サイズ展開が、S・M・L・LLサイズとなっているので、わんちゃんのサイズに合わせて購入を検討してみてください。
こちらの動画でも確認することができますので、参考までに、ご覧になってみてください。
まとめ
今回はわんちゃんが噛む時のしつけについて説明してきましたが、最後にしつけの方法や対策についてまとめていきたいと思います。
- しつけの基本は、どうして欲しいか明確にして一貫性を持たせる
- わんちゃんとの主従関係をもう一度確認する
- 叱り方を間違えない
- 噛むことが直らないと諦めない
- 噛んでも良いおもちゃを与える
- 危険回避のため、口輪の使用も検討してみる
最初は「甘噛み」だからと安心してそのまま放置していると、やがて「本気噛み」に発展してしまいます。
本来わんちゃんは平和主義者です。飼い主さんが誰かに怒っていれば、なだめようとすり寄ってきてくれたり、目の前でケンカをしていれば、仲裁に入ったりしてくれたことはないでしょうか。
むやみに噛むことが「いけないこと」だということをしっかり教えれば、わんちゃんも必ず覚えてくれます。
家族にも他人にも、危害を加えて事故を起こさないようにしつけることが「犬を飼うこと」の責任であり、義務であることを肝に銘じてください。
飼い主さんの責任は重大なものですが、それ以上に、わんちゃんから与えてもらう幸せも、たくさんありますよね。そして、わんちゃんにも、たくさん幸せを与えてあげてくださいね。