犬がご飯を食べないのは老化が原因? 老犬と食事の問題を解決!

最近は犬の寿命も延びているそうです。健康長寿なら何の問題もありませんが人間同様、体に不具合が発生して介護が必要になるケースも珍しくないとか。

犬も高齢期に入り体が衰えてくると、若い頃に比べて行動や嗜好などにも変化が現れます。

特に毎日あげるご飯は、高齢化した犬ならではの事情を考えないと、思わぬ不都合が生じることがあります。

せっかく長年共に過ごしてきた犬に、少しでも快適な老後の生活をしてもらいたい、と考えている方は多いと思いますが、そのためには知っておかねばならないことがあります。

今回はそんな老犬の飼い主さんや、これから高齢期に入っていく犬の飼い主さんにとって役立つ情報をお伝えしたいと思います。

Sponsored Link

老化とともに変わる犬のご飯

わんちゃんの寿命が伸びているのは確かな事実です。30年前のある調査では7.5年と言われていましたが現在では14年を越えており、およそ2倍となっています。

犬の平均寿命は30年で約2倍に!知られざる超高齢化の実態

一般社団法人ペットフード協会の資料によると、平成26年犬の飼育頭数は1034万6000頭、飼育世帯は15.06%にのぼる。猫は同年995万9000頭、飼育世帯は10.13%。平均寿命は犬14.17歳、猫14.82歳だという。

 同協会の会長である石山恒氏によると「昭和58年の独自調査では、犬の平均寿命は7.5歳」というから、ここ30年で倍近い延びをみせていることがわかる。

引用:ダイヤモンドオンライン

長寿化の要因としては、食事の改善や住環境のストレス軽減への配慮など、飼育の質が大幅に向上した事と、動物病院が増えて医療環境が充実した点が大きいそうです。

昔は少なかった動物病院も今は当たり前で、さらにペット用ジムや老犬ホームまであれば長寿化も納得です。

生活環境が向上して寿命が延びたのは大変結構なことですが、わんちゃんが長寿化すると、昔では考えられなかったような高齢化ならではの問題も発生しています。

優太
ペット向けのジムに老犬ホームか。ほとんど人間並みのサービスだね。
マロン
ペットジムって面白そうだね。
ラテ
私も興味ある!

犬の老化は7歳ごろから始まる

わんちゃんの高齢期はいつからなのかと言うと、犬種によっても異なりますがおよそ7歳頃がその境目となるようです。さらに年齢によって熟年期と老年期のに2期に分けて対応を考えます。

7歳から始まる熟年期

わんちゃんが熟年期に入ってくる7歳前後になると、徐々に体臭・口臭の変化、歯周病の悪化、関節炎、毛艶がなくなる、といった変化が出て来ます。

でも熟年期になったばかりだと、まだ若いころとあまり明確な違いを感じないかもしれません。実際のところこの年代は人間で言えばせいぜい50歳前後で、老犬と言うにはやや早い印象です。食欲に関しても同様でまだ大きな変化は見られないでしょう。

7歳以降は食事量を減らすことも

それでもこの頃から老化現象が始まるのも事実で、段々と運動量が減り基礎代謝も確実に落ちて行きます。ここで食事量を調整してやらないと、カロリー過剰でわんちゃんが太り過ぎてしまうことがあります。

目に見えた変化が無いと、つい飼い主も以前と同じように食事を与えてしまいがちです。しかし太りすぎると手足の関節に負担をかけるだけで無く、糖尿病心臓病などの様々な生活習慣病の引き金にもなります。定期的に体重を測定してその増減には注意を払ってください。

シニアの食事は消化に良い、良質な動物性たんぱく質が必要です。高カロリーなものは避け、低脂肪、低カロリーを基本に組み立てましょう。

優太
7歳くらいじゃまだ見た目あんまり変わらないけどもう中年すぎてるのか。待てよ、という事は5歳のラテは人間に換算すると・・・
ラテ
ちょっと? 優太君? いったい何を計算してるのかしら?
優太
イエイエ、ナンデモアリマセン。
マロン
ラテちゃんなんかすごく怖いよ・・・

11歳前後から本格的な老年期

11歳ごろからがわんちゃんにとっては本格的な老年期の始まりです。人間で言えば60~70代に相当します。老犬と呼ばれる年齢になると、飼い主から見て食欲不振が目立つことが多くなります。状況に応じて食事の与え方も変えなければなりません。

咀嚼する力が衰えるにつれて、若い頃は普通に食べていたドライタイプのドッグフードも飲み込みにくくなります。それに加えて老犬は体内の水分量が減少していることもあって、食事からも水分補給ができるように水分を多めのものに切り替えていったほうが良いでしょう。

老犬は食事回数も柔軟に

食事回数は1日2回というのが一般的と思いますが、食欲が落ちてくると1回あたりに食べる量が減ってきます。そのような場合は1度の食事で無理に食べさせようとせず、1日に3,4回に分けて与えてみるとよいでしょう。

熟年期は食べ過ぎに注意が必要でしたが、老年期に入り食欲が目立って落ちて来た時に気を付けるべきは、少ない食事量で必要なエネルギー分を補給できているか、ということです。食事の量が取れないなら質がより重要になってます。

わんちゃんの食事量が極端に減ったり、自分で満足に食べられないような状態になったら、少量の高カロリー食に切り替えるのも検討します。体重を頻繁に計って、ちゃんと食べているかの確認も大事です。

優太
なるほど、昔は生活環境が厳しかったから高齢期が始まるころには寿命が来てしまった、ってことだね。
ラテ
確かに老年期になると大変そうよね。でも寿命が延びたのは素直にうれしいわ。
マロン
それはぼくも同感。
優太
せっかく環境が良くなったのに、それが新たな問題を生むってのはちょっと皮肉だけどね。

 

老犬の介護予防

もしわんちゃんに健康で少しでも長生きしてもらいたいなら、熟年期以降は定期的な動物病院での検査や健康診断は必須です。

飼い犬が衰えていくのを完全に防ぐことはできませんが、ある程度遅らせることはできます。老化の始まる熟年期からの対応次第で、その後の老年期での健康レベルが大きく左右されます。うまくすれば介護が大幅に楽になったり、ほとんど不要になることもあります。

介護予防の観点からは、まずわんちゃんの噛む力を維持することがとても重要になってきます。

なぜ歳をとると乾燥したドッグフードがダメになるかと言えば、そのひとつは歯が悪くなって上手く噛めなくなるからです。

噛む力を維持するためには
  • 噛み応えのあるフード与えて咀嚼力の低下を防止
  • 食後の歯磨きなど口内ケアをしっかりやって歯周病予防

肥満させないのも非常に重要です。食事は低カロリーなものに変えます。基礎代謝は筋肉量でも左右されますので適度な運動を続けてこれも維持しましょう。熟年期に肥満予防がなされれば、老年期以降も健康長寿でやっていける可能性が高くなります。

ただしわんちゃんがすでに太ってしまっている場合は、無理な運動をさせないように注意してください。特に激しい運動は厳禁です。肥満していると熟年期以降だんだんと弱ってくる手足の関節にも大きな負担がかかりますので、食事量の制限のほかサプリの活用もご検討ください。コラーゲン、グルコサミン、コンドロイチンなどをサプリで補給するのがお勧めです。

老犬のご飯の食べさせ方

老年期に入って歳をとったわんちゃんは食欲が落ちますが、生存に必要なエネルギー分は摂取しなければなりません。

老犬に食事を与えるときの注意点などについて解説します。

食べなくなった意外な理由 体がつらくて・・・

若いときは何気なくご飯を床に置いて与えていたかも知れませんが、齢をとったわんちゃんには低い位置にあるご飯を食べるのは、結構大変です。

頭が低い位置にあるとご飯は飲み込みづらくなりますし、その姿勢をとること自体が弱ってきた手足や首に負担をかけますので、とてもつらいのです。

食事量が減る原因には、食欲以外にもこうした食べる姿勢関係しているかもしれません。ご飯を食べやすいように台の上に置いてあげるなどの工夫をすれば、立たずに座ったままでも食べられますので負担が大きく減らせます。

老犬になると、こんなちょっとしたことの積み重ねが結構重要になってきます。

もうそれいらない! ご飯の好みも変わる?

わんちゃんは嗅覚は非常に優れていますが、味覚は人間ほど発達していません。舌にある味を感知する味蕾細胞は人間の1/5程度しかありません。

味覚の中では甘みを一番強く感じ、その次が酸味で塩味や苦味はほとんど感じません。

また食事をほとんど咀嚼せず飲み込みますので、あまり味わって食べるということがありません。これは味わって食べているとその隙に他の動物に食事を奪われたり、最悪自分自身が食べられてしまうこともあった野生動物時代の名残です。

老犬になると味覚や嗅覚が衰えてきますので、それを補う味や臭いの強いフードを与えると食いつきが違ってくることがあります。

味覚は甘みを一番強く感じるので、ご飯に甘みのあるものを加えれば食欲を刺激できます

老犬はいつも食べていたフードなのに急に食べなくなったり、色々試してお気に入りになったと思っていたのに、急に食べなくなった、ということも珍しくありません。

どうにも体調が悪い時もありますので、そんな日はあまり食べられなくても仕方ないかもしれませんが、対策として数種類のフードを用意しておいて、わんちゃんのその日の気分に合わせて変えてみるのも一つの方法です。

優太
やっぱり犬は嗅覚が優れてるから味よりは臭いが重要なんだね。
マロン
そういえばいつも丸呑みしてるもんね。

重要なのは手作りか、市販品かではない

フードは市販品と手作りのどちらが良いか気にする人もいるかもしれませんが、必要な栄養が含まれていて、わんちゃんが食べてくれるならどちらでも構いません

咀嚼や飲み込む力が落ちてきたから、フードをドライタイプからより食べやすいウェットタイプに切り替えよう、と考えている人もいるかもしれません。

ウェットタイプのフードは水分含有量も多いため、シニア犬には不足がちな水分の補給という観点からも望ましい事です。

でも必要だからといって、いきなり今までと全く違うご飯に切り替えると、それ自体がわんちゃんにとってストレスになります。

そうなると思ったようにご飯を食べてくれなくなってしまいますが、これでは本末転倒です。

新しいフードに変える前に、まずは今まで与えていたドライタイプのフードをお湯でふやかして与えるのでも良いと思います。

別の新しいフードに変えたい場合は、いきなり変えるのは止めて、今までのフードに新しいフードを少しだけ混ぜて行くやりかたがお勧めです。

半月~1ヶ月くらいかけて、ゆっくり新しい方のフードの比率を上げて最終的には完全に置き換えてしまいます。このやり方だと抵抗なく食べてくれる可能性も高くなりますのでお試しください。

レシピいらずの老犬ご飯

売っているドッグフードにちょうど良いのが無いときには、やはり痒いところに手が届く、手作りご飯が一番ではないかと思います。

手作り、と聞いただけでハードルが高く感じる人もいるでしょうが、別にそんなに大したものを作る必要もありません。

目的はあくまでも不足している栄養を補給する、という事ですから市販のドッグフードに少量の野菜や肉をトッピング的に追加する程度でも十分なのです。

用意するのは肉と少量の野菜、たとえば小松菜キャベツなど葉っぱの野菜です。作り方はとても簡単で肉も野菜もさっと茹でるだけ

あとは必要に応じてわんちゃんが食べやすいように細かく刻むくらいです。ゆでた汁も捨てずにフードにかけてあげましょう。これでも立派な手作りです。

わんちゃんは野菜を消化できないのに食べさせていいのか?と思うかもしれませんが、トッピング的に少量食べさせるのであれば全く問題ありません。

むしろ野菜は不足しがちな水分補給になるし、食物繊維は腸内の環境を整えて便秘解消にも役立ちます。病気を予防し老化を遅らせる役に立つので是非とも与えて欲しいです。

ただし、野菜を与えるときに気を付けて欲しいことがあって、それはわんちゃんにとって玉ねぎも含めたネギ類は毒になるので絶対に与えてはならないという事です。この点だけは十分ご注意ください。

関連記事
犬の手作りご飯についてはこちらも参考にどうぞ

愛犬が100点くれた! 料理初心者でもできた手作りご飯レシピ

2019年3月3日

自分で食べられない

自分の力では満足に食べられないとなると、もう体力的にはかなり弱って来ていると考えられます。

本格的な食事介助が必要になりますが、わんちゃんによってはこの段階になると固形物は受け付けなくて、完全な流動食になる事もあります。こうしたケースではミキサーでどろどろにしてシリンジ(注射器のような形)などの専用器具を使って給餌するこも珍しくありません。

自分で姿勢を維持できないなど、本格的な介護が必要になってくると食事の与え方や量、その内容にもより一層の注意が必要になってきます。介護の仕方も含めてこうした問題について獣医師から直接指導を受けることをお勧めします。

ラテ
こんな風に良く面倒見てもらえるなら、長生きしても安心ね。
優太
飼い主としては大変かもしれないけどここまで頑張って生きてきたんだから、可能な限り快適に老後の生活を送れるようにしてあげたいよね。

自力でご飯が食べられない

まずは病気を疑い、早めに獣医師に相談しましょう。

寝たきりなど、極端に体力が落ちた場合も、自分で食事(ご飯)が食べられなくなることがあります。

この場合、流動食で栄養補給させる方法があります。流動食は市販品もありますが、

ドッグフードをすり潰し、水と混ぜた流動食を作ることもできます。

食事を与えるときは、市販の注射器に流動食をいれて、口の中に流し込んであげます。

流動食を与える際は、犬の頭を立てると(立っている時と同じ向きにすると)、

ご飯の逆流、気管への入り込みを防げます。

普段はおとなしい老犬でも、強いストレスを抱えている可能性が高く、噛まれたりするケースもあります。

流動食を与えるときは、十分に注意してください。

流動食は少しずつあげ、嫌がるようであれば、無理に流し込まないでください。

窒息する可能性があり、大変危険です。

引用:老犬ケア

 

まとめ

老犬のご飯の与え方や注意点についてまとめます。

  1. 犬の老化は7歳ごろから始まり、11歳以降は目立って食欲も落ちてくる
  2. 老化が始まる前後から介護予防を心がければ、その後の高齢期を比較的健康に過ごすことも可能
  3. ご飯を食べる姿勢に注意。老犬が食べやすいように水分量を増やすなど工夫も必要

歳をとると何をするのも億劫になってきます。特に体が弱ってきて食欲も落ちてきているのに食べなければならない、となるとわんちゃんにとって毎度の食事も重労働になってしまいます。

でも食べる時に介助用の台の上にご飯を載せてあげたり、トッピングに嗜好に合うものを探すなどの、ちょっとした工夫するだけで食事の快適さが随分違ってくると思います。

老犬介護の問題は、犬が人間に飼われていればこその問題と言えます。そもそも野生動物であれば、体が衰えた途端に捕食されてしまいますので老後生活自体が存在しません

そう考えれば飼い犬に悠々自適の老後生活を送らせてあげられることが、どんなに幸せな事か、と思いました。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

Sponsored Link